プロローグ 人生の選択
新連載スタートしました。
変わったものをやって見ようと思いました。
ホントにこんなことあったら、僕も選びますよ。
異世界に行くことを決めたアキトの運命は如何に
八月のある日の事
僕は何時ものように仕事をしていると急にお腹が痛くなってきて。
「可笑しいな。胃の辺りが痛む」
「大丈夫か」
黒髪の男性で痛みを訴えた彼は、姫城 陽翔。三十二歳にして独身。職業はサラリーマンだ。
同じ同僚に心配された陽翔は、
「大丈夫だよ。薬を飲めば」
そう言って、正露丸を飲んだののだが。
しかし、一向に効果が見られなく大丈夫だろうかと思い始めて。
次に症状が出たんは、二日後の木曜日だ。
「痛いなー」
「どうしたんだよ、姫城」
「何かさっきから背中が痛いんだよな」
「大丈夫か、それ」
同僚の加須寺に心配されると、陽翔が背中の痛みを訴えて。それを聞いた彼は心底心配そうな顔をしてそう言う。
そして更に二週間が過ぎたある時、仕事場に行くと、加須寺が一言言い放つ。
「おい、姫城。皮膚の色が黄色いぞ。それに目の色も。確かその症状、黄疸て奴だ」
「え⁉ どうしてそんなのになってるのかな」
「そんなの知るか!」
加須寺がそう指摘すると、理由が分からず、あたふたしてしまい。
それから何日かして、お風呂上りに体重を測って見ると。、
「え、どうしてそんなに下がってるのかな」
元々、六十九キロだったのが五十一キロにまで体重が減少していて。
それから、もともと糖尿病だったのが悪化してしまい。
「それ、一度医者で見て貰った方が良いぞ」
「そうしようかな」
そう言う事で母親と病院に行き、症状を伝えると、先ず、血液検査を受けさせられた。次に、聞き覚えの無い、超音波検査を受けさせられた。その次に、CT、MRIを受け終える、結果を見るなり、深刻そうな顔で検査結果を見せるなり、医師はこう告げる。
「これは、間違え有りません。残念ですがこの検査結果らか申しまして、膵臓がんで間違いないでしょう」
そう告げられた時、母親は目から涙が溢れだす。
何を言われてるのか? 誰の事を言ってるのか? 僕には解らなくなっていて。
更に追い詰めるかのように医師は、
「残念ですが、手術しても治る見込みが有りません。申し辛い事ですが、余命半年です」
「そんな、私の息子が……」
次々とぼ~ッとしてる内に、だけど、涙が自分の頬を伝って来るのが分かった。止まる気配はない。
だって、僕の残りの人生が半年しかないから。そう言われたから。
現実を受け入れたくないが受け入れるしかないと、神頼みで祈ってると、
『本当にこのまま、この世界で半年、仕事だけの人生で終わっていいのか』
と、誰かが問い掛けてきて。
辺りを見るがその声の持ち主は見付らない。
「一体誰だよ」
と、僕が言うと、
『自分で頼んでおいてそれは無いだろう』
と神は、返す。
「神様か? 馬鹿馬鹿しい」
『なら、何故祈ったんだい』
弱いとこを突かれ返す言葉が見付らない。
『其れよりさっきの続きだ。このままこの世界で半年間仕事をして死ぬか。 この世界とは別の異世界で痛みを忘れて遊んだり冒険したりして半年の寿命を終えるか。どっちか選べ』
そうやって二つの選択を迫ってきて。
―――どっちを選ぶべきかな。異世界なんてある訳ないから信用できないな。だからと言って此の侭仕事の人生でも半年しか無いんだ。だけど、この声が、ホントの神様だと信じていい物かも窺わしい。どうする、どうする。
陽翔が悩んで悩んだ挙句に出した答えは、
「信じてる訳じゃ無いんだけど、異世界で残り半年の人生を終えたい」
と、宣言した。
『宜しい。では、これを渡す。これは、今から行ってもらう異世界で使えるお金だ。半年分はある。それと、陽翔。君の携帯に、私のメアドを追加しておいた。これで、何時でも帰りたい時や何かあった時は掛けなさい。向こうでは、痛みや症状は出ないが、張と死までの日数が分かるようにこれを渡す』
本格的だな。メアドも確かに追加されてる。神って其の儘じゃん。まあホントに神様なんているんだなと信じ始めたのだ。
最後に、神様から渡されたのは、腕時計だ。残りの日数が書いてあるのである。
『では、そろそろ良いだろう。あのドアと向こうの世界を繋いだ。さあ、さあ、行きたまえ』
その指示に従い、ドアに向かう。
「どこ行くんだい?」
「まだ、これからの入院とかの話しをしたいのだけど、何処行くのかな」
母や医師の言葉を無視して、扉の前まで行くと出口のドアを何も考える暇も無く開け。
母や医者には見えて無いのかと思う光景が目の前にはあった。
「何だろう。ここ⁉」
『では、私はこれでサヨナラだ』
僕の驚きを無視して、神様が別れを告げたことで、異世界を舞台に半年間の生活が始まりを告げる。
次回は、異世界で出会いの話しと、本格的な異世界暮らしが始まります。