異世界で新生活始めました
「お兄ちゃん、朝だよ! ご飯だよ!」
「……ん~、……パンなら、起きない」
微睡みの中、ほとんど無意識に返事をする。
「白米だよ、大好きな白米が待っているよ!」
「……それは起きないと……いけない……な」
妹の悠香の声に少しずつ意識が覚醒していく。
デジタル時計が示すのは朝の七時。
つけられたネットラジオからは今日の天気予報が流れ、滑舌の良いお天気お姉さんが快晴と伝えていた。
朝は強いはずだったが二時間ほどの時差が体内時計とあわず、睡眠に対する欲求に抗うのが難しい。
と言うか、寝心地の良すぎる布団がなお一層の睡眠欲を掻き立てた。
それでもどうにか上半身を起こすと、待っていたとばかりに悠香が寝間着を脱がし始める。
「うわっ、また傷が増えてる!」
この世界に戻ると何時ものように体の傷をチェックされ、危険な目に遭っていないか問いただされるのが日常になっていた。
「今度は何にやられたの?」
「ん~……あれは空飛ぶペンギンみたいな鳥だったな……肉、旨かった……また食べたい……」
「傷が一個増えたから、来週の休みは妹とデートだよ!」
「……妹とデートか、それは楽しみだなぁ」
「言葉に魂がこもってないよ?
お兄ちゃん、言霊って知らないの?」
俺は殆ど思考の回らない頭で適当に応え、再び体を横たえる。
春眠暁を覚えず。
春の陽気は心地よく悠香の声は子守歌のようで、遠くで「白米が」「卵が」と響くなか再び眠りに就いた。
◇
「次はゴールデンウィークだからね! 忘れないでね!」
それは意識下に響くような声で、この世界に残していく罪悪感もあったが直ぐに魔法の行使に集中する。
意識下に広がる複雑な魔法陣に魔力が浸透すると不意に世界が暗転し、次いで強烈な光の渦に見舞われ肉体の束縛から魂魄が解放されていく。
最後に見えたのは五〇インチの液晶テレビとデジタルサラウンドプロジェクター、そして少し寂しげな悠香の顔だった。
悠香を連れて行けるなら良いのだが、俺の使う異世界転移魔法では自分自身を転移させることしかできなかった。
悠香どころか自分の身に付けている服すら転移出来ないのは些か不便だが、ここは魔法の改良を頑張るしかない。
それは約束もしたことだし真面目に取り組まないとな。
全ての存在が無となる世界の中でただ一つ、目指すべき場所に迷い無く向かう。
再び肉体の感覚が戻ってくると共に、春らしい濃密な緑の匂いが鼻を突く。
体に感じるのは少しだけ冷たさを残した風と、その風が草花を揺らす音。
眩しさにいつの間にか目を閉じていたが、その音と感覚だけでここが見通しの良い草原だとわかった。
素肌に衣類の感覚が表れるのは魔法の効果だ。
流石に裸体で人前には出られないので、仲間に戻ったら直ぐに衣類を着せてくれるよう頼んである。
「アキト様、お帰りなさいませ」
「おかえり、アキト」
目を開けるとそこには二人の少女――っと、走り込んできた幼女姿の精霊を胸で受け止める。
そのまま軽く抱擁を交わしてから両手で高く抱え上げると、太陽を背に大の字になって満面の笑顔だ。
「みんな、ただいま」
ここはセルリアーナ大陸の東に位置する神聖エリンハイム王国。
俺が異世界転移魔法によってやって来た世界で、初めて降り立った大陸だ。
はじめは人助けを建前に半分憧れの混じった気持ちでこの世界に来たが、厳しい現実の中で折れそうになるところを、出会った仲間と共に生き抜いてきた。
今はもう、この世界での生活が俺にとっての日常だった。
「変わりは無かったか」
「そうね、少し退屈だったわ」
少し勝ち気そうな少女が答え、その様子を見て大人しめの少女が微笑む。
「俺も少し体が鈍っていそうだから、早速狩りに行くか」
「はい」
「わかったわ」
元の世界にいたら女の子を連れて狩りに出るとか非難を受けそうだが、この世界では生きていく為に必要な選択肢の一つになっていた。
それに魔法が存在するこの世界では、必ずしも女性であることが非力とは限らない。
実際に目の前の二人は俺を上回るところも多かった。
この世界に来て二年。
俺も生きる為に必死になって鍛えまくったおかげで、元の世界で言えばちょっと退かれるくらい筋肉質になっている。
それでも勝てないところがあるのだから、女性だと思って侮っていたら痛い目に遭うだろう。
狩りが楽しみと言うかのように待つ二人に声を掛け、草原を北に向かう。
最初の目的地はバレンシア遺跡だ。
◇
青い空に輝く太陽、そして地平線まで続く広大な草原の中、俺たちは埃にまみれていた。
「おおっ! なかなか手強いな!」
俺は土煙を上げて隣を走り抜けていく巨大な牛を見上げていた。
五メートルは離れているのに若干見上げ気味になるその牛は、全高が五メートルには達するかという馬鹿みたいな大きさだった。
その突進を『魔盾』で抑えこむつもりだったが、『魔盾』は巨大な質量を受けて破壊された。
魔力が溢れない程度に手加減した『魔盾』では防ぎきれないようだ。
そして、その防ぎきれない突進を繰り返してくる巨大牛は二体いた。
「ルイーゼ! 左のを抑えてくれ!」
「はいっ!」
「マリオン! 右を倒すぞ!」
「わかったわ!」
一方の巨大牛をルイーゼに任せる。
ぱっと見は象に立ち向かう子供のような対比だ。
知らない人が見れば、その無茶な様子に悲鳴が上がるだろう。
ルイーゼは栗色の髪に碧色の目が印象的な少女で、同世代としては一五〇センチほどと低めだ。
背の高さを補うのは魅力的な大きさの胸で、全体的に見れば釣り合いが取れているのだろう……多分。
一時は伸ばしていた髪も出会った頃のようなショートボブに戻し、どちらかと言えば清楚系少女で雰囲気はお淑やかなお嬢様だ。
事実、貴族のお嬢様方と立ち並んでも見劣りするところはなく、正装をすれば誰も平民だとは思わないだろう。
もし本人が望むなら、天恵と言われる生まれながら持っている能力に対して与えられる特権で本当の貴族になれた。
本人が望むならば――だが。
言葉にすればそんな少女が巨大牛の前に立ち塞がるのかと思うだろうが、纏っている装備を見ればまさしく前衛の、それも盾職のそれだろう。
青水晶のような輝きを持つ重板金鎧に身を包み、屈めば全身を覆いそうなほど巨大な白銀の盾、そして特筆すべきはドワーフ用に鍛えられた巨大な白銀の聖鎚を持つ。
その姿は、おおよそ少女が身に付けて動けるとは思えないほどの重装備だ。
どちらかと言えば二メートルは超える大男が装備していた方が相応しい程の装備を纏い、今まさに巨大牛の突進を受け止める。
巨大牛が下げた頭にしっかりと盾を合わせるルイーゼ。
当然、質量の差は埋めきれない為そのまま押し込まれていくが、ルイーゼは体勢を崩すことなく、その足元だけが地面を抉っていく。
土埃を巻き上げその巨大牛すら掠れて見えなくなると、ようやくその勢いが止まった。
春の風がすぐに土埃を追いやり、見えてきたのは膝のあたりまで地面に埋もれたルイーゼと、目を回すように前足から崩れる巨大牛だった。
装備が良くてしっかりと盾で受ければ止められる――というものではない。
巨大牛の圧倒的な質量に対抗するだけの力がなければ簡単に押し潰されるだろう。
ルイーゼは『身体強化』を使い、更に上掛けすることでその力を生み出す。
真似をしたが、俺の使える魔法の中でも別格の難しさだ。
それを常時展開は無理にしても適時展開できるルイーゼには感服する。
ルイーゼはその儚く見蕩れる様な可憐さとは裏腹に、芯が強く目的の為には強敵にさえ怯まず立ち向かう頼もしさを兼ね備え、今までに命を救われたのは一度や二度じゃすまなかった。
そのルイーゼが聖鎚を後方に構えると、聖鎚の先端を中心に膨大な魔力反応が現れるのを『魔力感知』が捉えた。
満ち溢れる魔力を受け、聖鎚が眩しいばかりに光り輝く。
隙を逃さず振り抜かれた聖鎚が、一メートル近い巨大牛の側頭部に叩き込まれる――と同時に込められた魔力が爆発的に開放され、反対側の側頭部に抜けていった。
その衝撃は凄まじく、巨大な頭部の反対側に穴が空くほどのものだった。
覚えたての技術のはずだが、完全に使いこなした結果、オーバーキルもいいところだ。
改めてその威力に驚愕する俺の視界の端を、赤い影が走り抜ける。
一見すると黒い色の髪だが、陽の光を受けると燃え上がるような深紅に輝く髪を持つのがマリオンだ。
胸まで届く髪をまとめることもなく風に靡かせる様は鬣のようにも見え、獲物を捕らえる深紅の目もまた何処か獣を思わせた。
背はルイーゼより高く一六〇センチ半ばくらいだ。
とは言え、巨大牛と比較すればほとんどルイーゼと変わりない。
獣人族の血が半分ほど混じったその体は、スラリとした細身とは裏腹に驚異的なバネを持ち、そこに『身体強化』を使うことで、それこそ目にも留まらぬ速さで草原を駆け抜ける。
マリオンもルイーゼと同じく可愛いと言うよりは美人系だが、お淑やかな雰囲気を持つルイーゼとは違って、髪と同じく日の光を受けて燃え上がるような赤い瞳が情熱的な躍動感を持つ快活な少女だ。
そのイメージ通り性格も真っ直ぐで、ストレートな物言いを好む。
マリオンは動きやすさを重視した革系の鎧に身を包んでいた。
特に露出の多い装備というわけでもないが、それでも蠱惑的な魅力を感じるのは体のラインが強調されているからだろうか。
ただでさえスタイルの良い体を、より引き締めるようなボンテージ気味の装備がよく似合っている。
手にするのは薄らと赤みを帯びた二刀の短剣だ。
巨大牛を相手に短剣では致命傷を与えるのも難しい、普通はそう判断するだろう。
だがマリオンは構わず突き進む。
巨大牛はその頭部の左右に生えた角で、マリオンを弾き飛ばそうと頭を下げて突進して来る。
ルイーゼの時も同じだったが、巨大牛の攻撃はその質量をぶつけるというそれだけなのだろう。
それでも普通に考えて、その体当たりをまともに受けて耐えられる生物はそうそういない。
だからこそBランクとも言われる上位の魔物なのだ。
その巨大牛の突進にひるまず向かっていくマリオンは、ぶつかる寸前に巨大牛の鼻先を足場とし前転するように跳躍する。
まるで事故で跳ね上げられたようにマリオンの体が宙に舞うが、それは意図されたものだ。
空中に飛んだマリオンは、前転の勢いのまま頭を下に向ける。
その眼下を巨大牛の頭が通り過ぎる時、空中にあってマリオンの短剣が一閃した。
それはとても刃の届く距離ではなかったが、次の瞬間、延髄のあたりから激しく血を吹き出し、突進の勢いのまま崩れ落ちる巨大牛がいた。
マリオンはそのまま巨大牛の背に着地すると、油断なく動向を探る。
もっともマリオンの使った『魔斬』はその不可視の刃の力を遺憾無く発揮し、一撃のもとに巨大牛の生命を断っていた。
Bランクの魔物は自然界において遭遇し得る魔物の上位と言って良かった。
この上を探すなら魔断層と呼ばれる魔力の源の近くまで行く必要がある。
しかし、数多のBランクの魔物を押しのけてAランクの魔物の元へと辿り着けるのは本当に限られた者だけだろう。
ましてやSランクの魔物となれば相まみえることすらままならないと言われていた。
ちなみにヒドラ、ベヒモス、フェンリルそしてドラゴンと言ったクラスの魔物がSランクになる。
それにしても、二人とも一撃である。
結果として俺の出番は、全く無く終わってしまった。
死と隣り合わせの中、多くの激戦を繰り広げてきた二人にとって、ただの力押しでしか無い魔物では既に相手にすらならなかった。
「!?」
戦いの終わりを待っていたとばかりに魔法陣の中からモモが現れる。
植物系精霊のブラウニーで、俺は名付けという契約を行っていた。
戦いの最中は精霊界に居て、こうして戦いが終わると会いに来てくれる。
モモが魔物や動物に襲われたことは無いが、隠れてもらっているのは念の為だな。
身長八〇センチほどのモモは、まんま人間の幼女と変わらない容姿をしていた。
ただ一点、頭に生えた二枚の葉っぱが特徴的だろう。
それはブラウニーの特徴らしいが、他の一般的なブラウニーは巨大な木の男という感じらしいので、モモはちょっと特殊なのかもしれない。
精霊は一般的にその存在を認識出来る人と出来ない人がいる。
仮に出来る人でも全ての精霊が認識出来るわけではないし、認識出来ない人に対して精霊自身が意図的に認識出来るようにすることもある。
ちなみに俺は召喚魔法以外で、他の精霊を見たことが無い。
モモは緑色の長い髪に深緑色の目をし、若草色のワンピースと頭の葉っぱが飾りになるような帽子をかぶっていた。
服も帽子も俺が加工した物で、いつも大切に扱ってくれる姿を見ては、我ながら良いプレゼントをしたと思う。
「モモ、巨大牛を頼む」
モモは頷くと、どこからともなく小枝を取り出し、巨大牛に向かって振るう。
すると、小山のような巨大牛の下に魔法陣が浮かび上がり、直ぐに巨大牛と共に消える。
ブラウニーの魔法で、俺は魔法鞄と呼んでいるが正式な名前は知らなかった。
その魔法の能力は強力で、魔法鞄に格納された物は時間の概念すら存在せず、格納量は主である俺の魔力量に依存する。
今のところ自我を持つ生物を格納出来ないこと以外、欠点らしい欠点もない素晴らしいものだった。
対価は魔力で、仕舞っている量が多いほど多くの魔力を必要とする。
その魔力は名付けをした俺から自然と流れ出て、モモに供給されていた。
一時、かなりの量の食料を仕舞った時には魔力不足を感じることもあったが、日常的な使い方なら問題がない。
それに魔力は使うほど総量が増えていく傾向があるので、鍛錬と思えば悪くなかった。
おかげで小山のような二体の巨大牛すら格納しても問題ないほどの魔力量になっている。
モモと出会えたことが俺のチート能力だと思ったことがあるくらいは助けられていた。
そのモモは人の言葉を理解することが出来ても、話すことは出来なかった。
もっとも、感情表現が豊かなので不便がない程度には会話が成り立つ。
俺はモモを労い、その頭を撫でて魔力のお裾分けをする。
心地よさそうに目を細めるモモに、俺も癒やされた。
「こんなに何もない辺鄙なところで、よく魔物が放置されていたわね」
「何もないから被害もなく、あえて手を出す理由が無かったのかもしれません」
マリオンの疑問にルイーゼが答える。
おそらくルイーゼの言う通りなのだろう。
二人はあっさりと倒した巨大牛だが、冒険者ギルドではBランクにあたる強敵だ。
ここの世界では多くの冒険者がFランクから始まり、Dランクで足踏みする。
そして、引退するまでになんとかCランクに至るのが普通だ。
同ランクの冒険者パーティーが万全の体制で倒せるのがランクの基準になっているので、先程の巨大牛のようにBランクともなれば討伐パーティーを集めるのも一苦労だろう。
だから害が無いなら放置され、いざとなれば兵士による討伐隊が編成されるのが普通だった。
もともと魔物は魔巣と呼ばれる場所にしか居ない。
魔物のいる場所が魔巣という言い方もあるが、こんな草原の片隅に居る存在ではなかった。
ただ例外的に魔巣から魔巣に移動する魔物が居る為、側に魔巣が無いからといって安全とは限らない。
特に魔巣から出てくるような魔物は個体として強い傾向があり、その魔物の進行方向に町や村があった場合は大騒ぎになるのが常だった。
今倒した巨大牛も、いずれはどこかへ向かっていたはずなので見掛けたついでに討伐しておいたのが半分。
残りの半分は噂で聞くところ、巨大牛の肉はとても美味しい物らしいのだ。
娯楽の少ないこの世界で美味しい物を食べるというのは、贅沢と娯楽を兼ね備えていると言っても過言ではないだろう。
なにせ生きる為には食べて寝る必要があるのだから。
と言うことで、早速水辺に移動して料理だ。
俺は高等な物を作れないので焼くだけのステーキを。
ルイーゼには今度売りに出す予定のハンバーガーの為に、ハンバーグを作ってもらい、マリオンはその手伝いだ。
レシピは元の世界の物をこの世界の食材に合わせて改良している。
切り分けた肉は、すでにその状態でも素晴らしく美味しく見える物だった。
瑞々しい赤に小さい霜の降られたその肉は、焼き上げる火の中でいい感じに油が溶けだし、食欲をくすぐる匂いを立てた。
それを塩コショウだけのシンプルな味付けで食す。
「旨い!」
「これは見事ね……油が思ったよりもさっぱりしていて食べやすいわ」
「肉も柔らかくて溶けるような美味しさですが、旨味が詰め込まれて甘みを増した油もとても素晴らしいです」
「この油だけ分けて、別の料理に使えそうね」
語彙が少なくても良いじゃないか一言「旨い!」で。
大切なのは旨いか旨くないか、それだけだ。
モモは玉ねぎやキャベツも混ざったハンバーグを食べてご満悦だ。
こちらは食欲を誘うガーリックソースが掛かっている。
これをパンでサンドして売りに出すのが俺たちの店『カフェテリア二号店(仮)』の主力製品となる。
願わくばライスサンドを手掛けたいが、残念ながらこの世界ではまだ米を見掛けていない。
稲はあるようだが、食用としては使われてはいないようだ。
理由は不明だが、多分作るのが大変なのだろう。
俺、歳をとったら稲作を始めるんだ。
肉はおいしく、ハンバーガーも目処が立った。
流石に巨大牛は仕入れが難しいので限定商品になるが、極上とは言わなくてもそれなりの肉は他にもある。
あまり良い物を出して高くて食べられないのでは本末転倒なので、特別な一品という位置付けで良いだろう。
働いて食べた後は自然の欲求に従って眠くなる。
自営業な俺たちは時間にも囚われず予定を自由に決められた。
そんな贅沢の中で昼寝をしない手はないだろう。
俺たちは春の優しい日差しの中、大草原に横たわり深く青い青空を見上げる。
右にルイーゼ、左にマリオン、お腹には頭を乗せたモモ。
その存在を感じながら、心地よい睡魔に身を委ねる。
ここはセルリアーナ大陸の東を治める神聖エリンハイム王国。
その南に位置するカルナラック大平原。
色々なものを失った代償として得られた幸せな時間の中で、俺たちの新たな旅が始まった。