その会話によって思い出されたカコ
好奇心旺盛な少女と闇を持つ機械の会話
『ここから先は危険エリアです。』
「うん、おきまりのものね!」
『楽観視しないで下さい。』
「えっ?」
『恐らく私の機体が破壊されるでしょう。』
「えー、じゃあどうすればいいの?」
『貴女に任せます。』
「行けるなら行きたい!」
『そうですか。』
「こわれたらわたしがなおすから!」
『分かりました。』
「やったー!!」
『…子供とは無邪気なものですね、先生…(ボソッ』
「うん?」
『空耳です。』
「うん…」
彼女達は目の前に迫ってくる様々な液体を避けなければいけない。
液体にも色々あり、人間の組織を破壊するものから金属を溶かすものまで様々である。
「ねぇ、なんでこんなに大変なの?」
『企業秘密を守る為です。』
「それだけなの?」
『分かりません。』
「もしかして、しられちゃマズいものがあるの?」
『はい、沢山あります。』
「なんで?」
「例えば?」
無邪気に少女は問う。
『答えられません。』
補助機は知っている、だが答えられない。そういうプログラムなのだ。
「お姉ちゃんさ、なんで運転補助機なの?」
『そうなることを望まれたからです。』
「なんで?だれに?」
『…』
「ほらまただまる…」
『…』
『行きましょう。』
「うん」
『…っっ!!』
後ろからかかってきた液体をギリギリで避ける機械、そして少女は話を続けた。
「むかしにもどりたいの?」
『…』
「いまの、さいしんぎじゅつなら、もどれるんじゃないの?」
『貴女は戻りたいですか?』
「うん!」
『それは何故ですか?』
「やりなおしたいことがあるから!」
『何ですか?』
「さよならを言いたかったの…」
『…』
「びょーきになってた、大好きなお兄ちゃんにさよならって言いたかったの」
『そうですか…』
「彼女」のメモリーと重なる…言えなかったさよならを言いに…
「お姉ちゃんは?」
『同じく、お別れが、言いたかった…』
「あっ、ひこーきだ!!まだのこってたんだ~」
無邪気に喜ぶ少女。
絞り出すように、「彼女」は言った。
『…愛してた、さよならってたった一言言えれば良かったのに…なんで…なんでそうなったの…』
涙を流す機械。少女は周りの景色に夢中で気づかない。とても楽しそうである。
「彼女」は知っている。最新技術を使えば過去に行けるがそれには代償がいることを…
『届かない…』
話はまだまだ続く