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幼い頃の私~命の対価~

どうやら、私を連れてきた勇者や、それ以外の面々も私が嫌がらせを受けていることに気がついたようだ。

でも彼のいたずらの邪魔をされたくはないので、勇者とか男どものベットの下のしたにあるものをこれみよがしに見つけて、聖女を筆頭とする大人の女性に見せつけるという暴挙を起こしてみた。

結果彼のいたずらはとどまるところを知らずにエスカレートしていった。

無論、彼が仕掛けたのではないデストラップも徐々に巧妙になっていった。

頬に傷が付いた時にはさすがに心配されたものの、暴挙第二弾を発動。

少し空気が重くなってしまった。

孤児院のみんなには悪いが、彼が諦めるその日まで我慢してくれ。

彼が何者かに操られているときは・・・




数日後、とうとうシビレを切らしたのか、その何者かが動いた。

彼が人質に取られたのだ、従うしかない。

行ってみればそこは月明かりに照らされた森の庭園だった。

「はじめまして…かしら、できれば姿を見せてくれるとありがたいわ」

私の声は、森の静寂にかき消された。

と同時に私は悪寒に従って地面に倒れこんだ。

直後、頭上を通過したのはナイフだった。

しかも五本一斉にだ。

一本一本違う方向から、ではないのが救いか。

その方向にゆっくりと目を向けると、一人の青年と彼がいた。

彼は木の幹のロープでグルグル巻きにされており、さらに布か何かで口を覆われていた。

青年は、憎悪の目というより狂者の目で私を見ていた。

迷信を信じているのだろうか、魔女の子()を殺せば死んだ者が帰ってくるなんていう。

くだらない迷信を。

これは近所の村のおばさんが、王国から帰ってきた息子から聞いた話だそうだ。

無論、死者を蘇らせることは理論上可能だということがわかった。

ただし、一対一なんて軽い対価では無い事は私の目から見てもわかった。

本当に必要なのは、・・・・・・・・なのだから。

「本当に、無駄なことをしてるね。成功なんて絶対しない噂に踊らされてるなんて」

「き、貴様に何がわかる?!「なにも」貴様を殺して、そして俺は「空っぽ」何が言いたい!!」

「本気でそんなことをするつもりなら、世界中の人間殺してもまだ足りないほどの犠牲と自分の命が必要なんです。彼を殺さなかったのが、さっぱり死者蘇生の原理を分かっていない無知な人間のやることです」

「どういうことだ?」

「それを聞きますか?死にかけた人間を健常者に戻すのですら数万の犠牲を払ったのです。その千倍は必要になるとは思いませんか?」

「・・・」

声が途絶える。その静寂を破るように青年の向こう側から拍手が聞こえた。

「いやいや、素晴らしい演説をありがとう。なかなかの役者だったよ」

その森の向こうから出てきたのは、

「魔族」

「おや、そんなこと知っているのかい?」

「お前が、くだらない事を教えたの?自分が力を得るために」

「本当に君は子供かい?」

「子供よ、四つになったばっかりの。」

「そんなことはどうだっていい!力を得るためってのはどういうことだ?!俺を騙したのか?」

「いいえ、彼は騙してないわ。願いを前半だけ叶えさせようとしただけよ」

「つまりお前は労せずして、こいつを殺したかったわけだ」

「イエスですね」

風が吹く、静かにだけど冷たく。まるで今の彼らをあざ笑うかのように。

「帰ってこないのか?」

「その問にはノウです。死者を蘇らせるためには、質ではなく量が必要ですから」

「私を殺すの?」

「いいえ、やめておきましょう。私はあなたを殺すことは不可能ですから」

「それは何故?」

「約束ですよ、遠い昔のね」

そう言って魔族はどこかへ転移していった。

あとに残された青年は、ナイフを落として泣いていた。

彼は呆然と私を見ていた。

その後青年と彼と私は孤児院へと連れてこられた。

その夜あったことは三人とも口をつぐんだ。

本編では説明していませんが、暴挙を起こした最中にその記述に触れています。

母親の記憶の継承も含めて、彼女なりに考えていたことです。

また、あの術は円の中に対象と贄がいなければなりません、それゆえ青年は絶対に死者を蘇らせることはできません。


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