嵐の中の私~風は静かに、されど~
目的地へ着いた私たちはくじ引きで決まった、メンバーで動きます。
決まったメンバーは、私含め平民四の貴族一の五人パーティーである。
貴族は俺がリーダーだと言わんばかりにズンズン進み、モンスターを
貴族は見下し、勝手な命令を下す。
ゴブリンに突撃。スライムにも突撃。コボルトにも突撃。
かつ自分が命令を下すだけで失敗を他人のせいにする。
典型的なダメな上司である、これがいつか大将軍になるとかのたまっている男のすることなのだからため息しか出ない。
スライムに取り込まれそうになったところを見ても、次にスライムに出逢えば突撃、ほかの人の意見も聞かない。
ということで貴族の意見は無視して、残り四名で敵に合わせて動くことにした。
合流後文句を言ってきたので、きちんと話し合いをすることにした。
「・・・反論を聞く前に一つ言っておきます。平民は貴族の使い捨ての駒ではありません。この意味が分からず、かつ先程の言葉を繰り返すつもりがあるのなら・・・妄言はそこまでにしておきなさい」
「な、なんだと?!」
「あなたはどれほどの犠牲を強いるおつもりですか?突撃バカでもないのに、言葉を覚えたての子供のように繰り返して、しかも自分は命令するだけ。まあ指揮官が前線に立たないのは万が一のためですが、あなたのしたことは小隊長が威張り散らしているみたいなものですよ。おまけにお荷物まで押し付けて、何度危うい目に合わせたら気が済むんですか、あなたが大将軍になったら私はこの国から逃げますね。負けることしかできない指揮官に、勝利の二文字は掴むことのできない星でしかないでしょうから」
「い、言わせてけば。無礼だぞ!!」
「無礼もなにも、あなたも私も子供、そこに貴賎の差はあれど身分の差はない。この学園の基本方針ですよ。・・・まぁ、身分しか知らない子供は守る気もないようですが」
「・・・何が言いたい」
「平民と一緒に、目的の私も屠りたいのでしょう?」
「・・・」
「どういうことだ?」
仲間の一人が聞いてくる。
「話してもいいのですが詳しく知ると、三日後には首と胴体が泣き別れちゃうかもしれないことと引換に貴族の泣き所を知れるけど、聞く?」
みんな揃って首を振る。
「よろしい、過度な好奇心は冒険者を死へ誘うといいますしね」
「でも、あなたには聞かせます。あの戦場で死んだ者たちは全て※※※※※な人たちだったんです。トカゲの尻尾切りのうまかった、そんな人たちばかりでした」
「・・・」
「あなたももしあの時戦場に出れる年齢なら、一番やりにされていたでしょうね」
貴族の少年は、そのままがっくりとうなだれた。