そして私は~嵐の幕開け~
無性に考えがまとまらないことだってある。
こんな日は、何も持たずに机に向かい突っ伏すのがいいに決まっている。
気がつくと何もない自分に行き当たった。
これが誰なのかは誰も知らない、私の今はみんなが形作ってくれたもの。
じゃあかつての俺は?
気がつくと空が曇ってきていた。
かなりの時間のんびりしていたようだ。
そろそろ立ち上がろうかな思い立ち上がった瞬間、自分の肩に掛けてあったものがずり落ちた。
毛布だ、いつの間にかけられていたのだろうか。
これも悩んでいても仕方ないだろう。
毛布をたたみ、部屋から外に出ることにした。
今日は宿題もないし、ちょっと寮の中をぶらぶらしましょうか。
寮の中をぶらぶらしていると、窓の外の雲行きが怪しいことに気がついた。
曇り空は、その視覚的な重さを増してゆき今にも降りそうに見えた。
「雨か、やだな」
そう考えていると降り出してきた。
雨音が寮の中の音をかき消す。
振り返ると廊下には一人だけ、ぽつんと取り残されたような感覚に陥る。
皆はどうしたのだろうか、もしかして私はまだ夢の中にいるのだろうか。
見えない不安が私の中を駆け巡る。
自分の部屋に戻り時間を確認する。
今は夜をだいぶ過ぎたところだ、皆おいおい明日の準備を部屋の中でしていたのだろう。
・・・あの子はどうしたんだろうか。
見れば準備はもう終わっている、ついでとばかりに私の分も終わっていた。
ではどこに行ったのだろうかという思いがよぎったが、思いのほか簡単に答えは見つかった。
机の上に手紙が置いてあった。
内容は友人の部屋でパジャマパーティーをして今日は帰れないというものだった。
行き先が分かりホッとした私は、明日に備え眠ることにした。
夜の音が、よく聞こえる。
まるで深海の中に一人取り残されたような、そんな孤独感を感じながら、私の意識は眠りの中へ沈んでいった。
「どう?何かわかった?」
「明日からの課外授業が不安になってきたことくらいかな」
「何か出たの」
「嵐の予感、それも彼女に向かって」
「なんとか出来そう?」
「少なくとも、私たちにできることは少ない」
「そう、じゃあその少ないことを考えていきましょう」
「何か作る必要ある?簡単なものなら日の出までには出来るけど」
「そんなに時間のかかるものはいらないわ。むしろ数が欲しい」
「わかった。ほかのみんなも待機させておく?」
「そっちの手配はお願い」
「わかった、それじゃ頑張ってね」
「ええ、頑張らせてもらうわ」