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そして私は~言の葉は紡がれて~

翌日、休日の昼ごろ私はお茶会に誘われた。

ゲストは私、ホストはアイリス姫、給仕は何を思ったのか王太子である。

「先日の件、愚弟に変わって私から謝罪させてもらいます」

「いえ、私は本人からの謝罪でなければ受け取れません。何より私はアイリス様に下げてもらうほど偉いわけではありません」

「私は貴賎の差で下げない頭はないと考えてります。それに私は、愚弟のしでかしたことがどれほどのことか、置き換えて考えることはできます。しかし、わかるなどと言うつもりはありません。そのような状況に至ったことのない人がわかるという言葉を軽々しく言ってはいけないものだと思いますから」

アイリス様は真摯にこちらのことを想い、今回の件に関しても決してなあなあで終わらせないことを誓ってくれた。

世間話を交えながら朗らかに進んだお茶会の最後に、

「いつ、私のことを知ったんですか?」

と聞いたが彼女は、

「内緒です」

というだけで、教えてはくれなかった。




「行ったのかい?」

「ええ、お帰りになりましたわ」

「それは残念だ、僕のスコーンを食べて欲しかったのに」

「ホスト側として食べさせるわけにはいかないから、タイミングを見計らって退席させたわけですが」

「そんなに私のスコーンはダメかい?」

「兄馬鹿を自負している私から見ても、お兄様が自信を持って出した料理ほど致死率につながりますわ」

「それじゃ私の料理がまるで毒か何かじゃないか」

「余計なことをするから、限りなくそれに近い何かが出来上がるのですよ。毒見役になった人たちに素直にアレンジしない料理を出してあげてくださいな」

「しかし、アレンジは「お兄様のは、アレンジではなく作った人への冒涜ですわ」趣味なのだけれど」

「きちんと作れば人が食べられるものができるのに、なぜ余計なことをするのです?」

「だから趣味なんだよ「人に食べさせる時点で趣味は人殺しになりますわ」・・・」

「今月、お兄様の料理を試食して教会の世話になった人が何人いるか知ってますか?」

「・・・」

「自分で食べて大丈夫なものも出せないんですか?」

「味なんて千差万別「屁理屈こねてないで味見をして自分で食べれるものを作ってからにしてください。あ、それとアレンジ後に味見をきちんとしてくださいね。アレンジする前にしたから大丈夫と言って、お城の兵士の二割を沈めたあの一件は今でも新人たちに恐れられている話ですから」・・・手厳しいね」

「死人が出てないのが不思議なくらいです。彼女に対して振舞おうとしたスコーンも毒物と大差なくなっているのでしょう?」

「・・・試してみたくなるじゃないか、屍人を」

彼女は無言でスコーンを持ち。その持ったスコーンは王太子の口の中に全て放り込まれた。

そののち数日ほど王太子は学校を休み、王と王妃からこってり絞られたそうだ。

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