そして私は~拒絶の言葉~
彼らがそこにいた。
彼らは、そいつの兄と姉、私にとっても、とも言えるが。
「一体何が起きたのか、みんな話してくれるかい?」
とイケメン王子に言われたからといってこぞって、集まって私が単に悪いというようなことを言いまくっていた。
「君たちは、公正に事態を見ていたのかい?それとも私の弟だからといって、有利になるように証言して私の心象をよくしたいなどという魂胆があるわけではないよね」
優しくしかし冷たい言葉に、
「にい様、この人たちは嘘は言っていないようですよ。魂胆自体は見え見えですが、でも」
金髪に切れ目の女性は、こちらを向くと、
「最初から最後まで話したわけでは、ないですよね?」
コカトリス、またはゴルゴンのような瞳を向けてくる自分たちより少し年上の少女に皆がすくむ。
「に、兄さん。こいつ凶暴だよ!!俺のこと殴ってこようとしたんだ!!」
情けないことにバカは、自分の兄姉だとしっかり認識すると風が巻き起こる速さで、泣きついていった。
「その前に、何か言わなかったかい?」
「ううん、何も言ってないよ!!俺がそんな人の弱みに漬け込むようなことをする?!」
「嘘つき。私はこの子を知っているわ。だから、あなたが触れてはならないことに触れたのは傍目で見てもわかるのよ」
「・・・一体何に触れたって言うんだい。僕はただ」
「あなたにだって触れたくないことがあったでしょう。それを、ズケズケと踏みにじっていったのは誰かしら」
ズケズケという言葉をえらく強調しながら、彼女は自分の弟を睨んでいた。
「そこまでにしておきなさい、アイリス。バークに悪気はないんだよ」
「悪気しかないですわ。世の中は自分のためにある気分から早く脱していただかないと、雪の日何のために」
「それ以上はいけないよ。・・・バーク」
温かい声を妹にかけたあと、急に氷点下になったかのような声で自分の弟を呼んだ。
「は、はい」
「君には少々王族としてのなんたるかが分かっていないようだ。今日から毎日、君のしたことを懇切丁寧に説明していこう」
傍から見ている限り、脅すことはしていない、しかし有無を言わせない王の貫禄がそこにはあった。
「君にも失礼なことをした、後日改めて謝罪しよう」
そう言って、彼らはそのまま来た道をもどっていった。
後半の私はあっけにとられているしかなかった。
ま、ほかの連中が復帰する前に教室へ入っていったんだが。
その後何があったのかを聞かれたものの、王族の名前が出るとみんな口を閉ざした。
どうやら新入生にも、あの雰囲気が伝わったようだ。