そして私は~受け取ったもの~
「お母さん?これまでのは推理じゃなくて?」
「いいえ、ある程度は推測の部分がありますが、この大陸に来る途中で夢の中で知り合いから、頼まれたんですよ。あなたのことを不安で仕方ないからって、でも会ってみて大丈夫だって思えました」
「その根拠は?」
「乙女のカンって言ったら、だめですか?」
「そんなアバウトなものでいいんですか?」
「かまいません、私の目で見てそうだと確かめたのですから」
彼女のその目は、しっかりと私を見ています。
どこか遠くを見ているわけでも、前世まで見透かしているわけでもなく。
今ここにいる私を見ているのです。
この学園に来てからはそう感じることが多くなりましたがここまではっきりとわかったのは多分初めてです。
信じれるかどうかは別ですが、
「とりあえず、あなたがそんなことを言いふらさない人だろうとは思いますのでそこに関しては信じてあげます」
「そこだけなんですか?」
「生きてきた環境が環境なので、合って少しの時間で全てを信頼できるほど、甘ちゃんにはなれませんよ」
「そう、そうならそれでいいと思うわ」
そう言って彼女は自分の布団に潜り込んでしまった。
程なくして規則正しい寝息が聞こえてきた。
彼女に聞きたいことがあったのだが、仕方ないかと思いそのまま眠りについた。
翌日、いつもどうりの朝を迎え、いつもどうりの登校、ただひとつ違うのは。
「俺の嫁にしてやる。どうだ、嬉しいだろ」
ドヤ顔で宣言する坊ちゃん王子とそれを憎しみのこもった視線で見てくる女子数名。
外見だけ見ればそこそこだからな、中身を知ってるからむしろあなたたちにそっくり不良債権として渡したいくらいです。
ついでに言えば私の回答は決まっております。
「お断りします、先も言いましたが私の血筋は王族に関わるとロクなことになりません。あちらにいらっしゃる方の方が私よりもあなたの正妻にふさわしいともいますよ。これが側室でというのなら、尚の事私は断ります、王族の血筋に連なるほど私の血は澄んでいるわけではないのですから」
そう言い切った、こちらを睨んでいた女子たちはなんだこいつはみたいな目で見てきたあと、なんて不躾なという目に変わった。
半分位ほかの視線に変わらんもんかなと思っていると、アホが地雷を踏み抜いたのだ。
私の耳元に顔を寄せると、
「お前の母親は、あの魔女だと言って欲しいのか?嫌だろう」
そのまま私は、無言で左手でそいつの体制を崩し右手を固く握り締めてをいつの顔面に突き出した。
「何をしている!!」
しかしその拳が当たる直前背後から声がした。
拳はそいつに当たることはなかった、ただし目の前スレスレで止まったために涙目になっている。
振り向いた先に、彼らがいた。