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黒の外交官と茶トラの領主  作者: 雨蝶蜜裄
黒の外交官と茶トラの領主
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セーブルとアストルニア


アストルニアは、園芸や農業の盛んな土地である。

セーブルは最初、自分の知っている猫は農業ではなく狩猟などに向いているのでは・・・と思ったのだが、それをトラに話すと、トラ曰く


「猫族は環境の変化に敏感だ。それに、ここは温暖で、農業を行うのに適しているからな。だが、果樹だけは苦手としている。鳥族の方が収穫の時期を悟るのに向いているからな」


と言っていた。


その為、アストルニアは年中花が咲き乱れ、その香りが町中を漂っている。

最近では、セーブルの指導の元、バラを中心に食品へと加工される花々が増えた為、その香りも漂って来る。


その時に、トラは種族についても教えてくれた。


主に、この世界には五大種族というのがいて『警邏・武力に特化した犬族』『天候・予知に特化した猫族』『最大種族である鼠族』『多種多様な能力を持つ鳥族』『知能・技巧に特化した猿族』が領主になる事が多いのだという。

そうなれば必然的に、王になった種族によって発展する分野が違ったりするのだとも言っていた。


始めの内は、全く知識の無いセーブルにトラやリルートが、毎日のようにこの世界の情報を与えてくれていたのだが、所々地球と同じような部分があった事もあり、セーブルは何とか全てを覚える事が出来ていた。

けれど、セーブルとしてはとても便利な世界に住んでいた為、色々と不便だと思う事が多い。

そこも含めて、トラは自分に力を貸して欲しいと言っていたので、小出しではあるが地球での知識を披露している。


先日の『バラジャム』も、その一つだったのだが、思わぬ重鎮とのパイプができ、結果としては上々である。

あれから、何度かブランシュと手紙の交換をし、次の茶会には新作のお菓子を持って行く事も伝えてある。

その内、ブランシュの評価が良ければ市場に流通させようと考えている商品でもあった。


「セーブルさん、先日教えてもらったお菓子、とっても美味しかったって評判でしたよ」

「まぁ、リュイじゃない。もうこちらに帰って来ていたの?」


最近の事を思い出していたセーブルに、緑色の瞳が印象的な美女が話しかけて来た。


「えぇ、王都まではそんなに遠くありませんし、早くセーブルさんに見せたい物があったので飛んで帰って来ましたの」


リュイと呼ばれた女性は、赤の紐で纏められた一枚の上質紙をセーブルへと手渡した。


「これが『クラウン・シンボル』なのね」


広げた紙には、セーブルの名と、商品名、製造国が記載されていた。

そして、その上には『ロイヤル・クラウン』と呼ばれるマークが描かれており、最後に獅子王の署名がある。

所謂、地球で言う所の『皇室御用達』を証明する証書である。

このロイヤル・クラウン一つで、町の立て直しが可能だと言われるほど効力を持つ物で、先日獅子王へと献上したバラジャムが認可され、それをリュイが『外交官補佐』として受け取って来たものだった。


「これで、この町も活気付くでしょう。全てセーブルさんのおかげですね」


リュイの言葉は素直に嬉しかった。しかし、きっと近い内にセーブルは問題が起こるだろうと、感情とは裏腹に眉を顰めるのだった。






ようやくアストルニアについて書けました。

まだまだ世界観の説明が足りないので、ちょいちょい話の中にねじ込んでいきたいと思います。

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