表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リュビの嫁  作者: KI☆RARA
リュビの嫁~自覚編~
43/49

第25話



 ベルは夜中に悶々としてしまい、寝台の中で眠れずに身体の向きを変えたりしていたが、どうしても眠れない。

 昼間、パメラから聞いたことを思い出していた。

 仲良くなりたいのだが、どうしたらいいかという相談に、意外にもパメラは真剣に答えてくれた。

 待っていては駄目だ、と。

 会うことが難しくても、無理やりにでも話し合う機会を設けなければ。

 こうなったら、ジェラールの寝室へ忍んで行ってしまおうと心に決めた。しかし、決めたものの二の足を踏んでしまい、実行したのは、決心した日から三日経ってからだった。

 部屋の前には護衛がいたが、ベルの姿を見ると、静かに扉を開けてくれた。

 恥ずかしくて顔から火がでそうだったが、顔を伏せて足を動かした。

 暗くて部屋の全体は分からなかったが、その部屋はシンプルな作りで、寝台くらいしか置いてなかった。

 そろり、とベッドに近づく。

 ジェラールは、寝台にあおむけで眠っていた。瞳が閉じられ、すっきりとした鼻筋を月の淡い光が照らしている。

 なんだか、寝台に近づくごとに、温かくなっているように感じる。人から放出される熱だろうか。人の気配がする部屋というのは、なんて落ち着くんだろう。

 ふらふらと、足が自然と動いた。

 寝台の横に立った。

 そのまま腰をかがめて、顔をジェラールに近付けた。ジェラールの呼吸音が聞こえる。

 寝台に手を置いて支えているが、段々と疲れてきた。

 シーツをめくり、するりと足から潜り込んだ。

 身体が触れないように気をつけて、あおむけに横になる。

 顔だけを横に向けて、ジェラールを見た。

 起きた様子はない。

 しばらくそのまま身体を硬直させていたが、次第に身体の力を抜いた。

 そして、もう少し近付く。

 今度は手の甲がジェラールの腕に触れた。

 ジェラールの呼吸は安定していて、ちらりと横目で見ても起きている気配はない。

 ベルは横向きになり、じっとジェラールの横顔を見つめた。

 その視線が、唇に向かった。

 この唇と、キス、したのだ。

 あたたかくて……柔らかくて……。

 ベルはジェラールの肩に額を付け、瞳を閉じた。

 この場へ来てしまったが、ここからどうするかは決めていない。

 ジェラールを起こそうか、それとも、こっそりこのまま部屋に戻るか。

 考えようとするのだが、この安心する大きな肩に触れていると、頭を働かせるのが難しい。

 手をそっと太い二の腕に添えて、声が漏れないように気をつけながら、うふふっと唇を綻ばせた。

 久しぶりに触れるジェラールの肌が、あったかくて心地よい。

 このまま眠ってしまいそうだ、と意識が沈みかけたとき、腕が動いた。

 目を開けると、ジェラールが目を開けて、横を向き、ベルと向き合う姿勢になった。

「ベル、愛している。結婚してほしい。」

 唐突な求婚だったが、ベルは自然に頷いていた。

 ジェラールはベルをぎゅうと抱きしめた。

「駄目だな、物語のヒーローのようにプロポーズするつもりだったのに。」

 また改めてプロポーズさせてくれと言われて、ベルはジェラールを抱きしめ返して「はい。」と答えた。




ちなみに、夜這いはリュビ族の女性の常套手段です。

パルレ族からしたら、考えられないことですけど……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ