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リュビの嫁  作者: KI☆RARA
リュビの嫁~自覚編~
33/49

第15話


 エムロード族の美少女の屋敷で採寸されてから2週間経ったころ、ベルは再びエムロード族の人たちと会うこととなった。今度は、場所はベルのいるジェラール王子の屋敷だった。この間採寸したドレスの仮縫いにやってきたらしい。

 その日はジェラールが出仕せずに屋敷にいたので、てっきりあの美少女がやってくるのかと思ったが、来たのは採寸してくれた女性たちだけだった。正確には、イヴもいた。イヴは採寸の女性たちに紛れ、ジェラール王子の目を逃れていた。

 動いてはいけない、と言われたので、ベルは女性たちに囲まれながらじっとしていた。目線はイヴに釘付けだった。

 イヴは果たして女性だったのだろうかと、ベルは頭をフル回転させていた。イヴは自分のことを僕と言っていたが、男だとは一言もいっていない気がする。

 今日のイヴは、目深にかぶった帽子の端から長い緑の髪がこぼれている。この間見たときは短い髪だったので、きっとカツラだろう。お仕着せのスカートを履いているので、ぱっと見誰か分からない。

 女性に見える。

 もともと双子の姉にそっくりなので、完全に美少女だ。

 イヴに尋ねてみたくてそわそわしたが、ジェラールには内緒だと言われていたので声を掛けられなかった。

 ジェラールは仮縫いに立ち会い、部屋のソファに腰を掛けながら、その様子を眺めている。

 仮縫いの状態だったが、そのドレスは素晴らしかった。ベアトップドレスの形状で、肩はむき出しになっている。シンプルな上半身とはかわって、スカートがドレープ状に広がっている。

 着せ終わると、身体をジェラールのほうへ向けられた。ジェラールの視線がつま先から頭のてっぺんまで動く。

 そして、満足そうに頷いた。

 それを見て、ドレスを着せてくれたエムロード族の女性がジェラールに尋ねた。

「手袋はこちらでご用意いたしますが、他の装飾品についてはいかがいたしましょうか。」

「ティアラ、ネックレス、靴についてはそれぞれ当てがある。」

「かしこまりました。」

 話は終わったとばかりに、ジェラールが部屋から出て行った。

 ジェラールの姿が廊下に消えた途端、イヴがベルに近づき、ひそ、と話しかけてきた。

「ベル、会いたかった。」

 ベルは少し気まずかった。この間イヴに言われた言葉はベルの心にまだ刺さっていたし、それでなくてもジェラールの恋人の双子なのだ。

「ねぇ、驚いたわ。今日の格好、この前とはぜんぜん違うのね。」

「ふふ、似合う?女性に見えるでしょう。」

「そう言うってことは、男ってことでいいのよね?」

 ベルは疑わしそうにイヴを上から下まで見た。

「そりゃあそうさ!」

 イヴは両手を広げてみせた。

 ジェラールがいなくなっても、まだベルの侍女は部屋の隅に控えている。声をひそめているので、そこまでは声が届いていない。しかし、ベルを囲む女性は二人の会話が聞こえているだろうに。まったく聞こえていないかのように手を動かし、仮縫いのドレスを脱がそうとしている。

「ねぇ、ちょっと、着替えるんだから出て行ってよ。」

「せっかくベルに会いに来たのに、出ていけなんて。ジェラール王子に見つかったら、大変なことになるんだから、部屋から出るのは無理だよ。」

「じゃあ向こうを向いていて。ぜったいにこっちを見ちゃ駄目よ。」

「わかったよ。」

 イヴは、くるりとベルに背を向けて着替えが終わるのを待った。




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