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可憐なお客様
カラン、カラン、カラン
ゆっくりと店のドアが開き、一人のお客様が入ってこられる。
大きめの帽子を深く被って、アームカバーをして、
日焼け対策をばっちりされています。
「こんにちは」
お客様が挨拶をすると、従業員の一人が席を案内する。
ペコリとお辞儀をして、指先でそっとメニューを開き、
ゆっくりとページをめくっていかれる。
特に何か発するわけでもなく、
ただゆっくりと、静かに仕草をするお客様に、
自然と周囲から視線が注がれる。
「あの、すみません。」
片手をさっと上げて、従業員を呼ばれる。
たったそれだけの、最低限の動きと発言しかなかったにも関わらず、
このお客様は、その可憐な所作によって、
妙に目を引き、目立つ上品な方なのでした。




