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第97話 9月28日(木)
最後の朝 朝6時
町全体の様子
祢古町が、静寂に包まれている。
でも、死んだような静寂ではない。
期待に満ちた、祈りのような静寂。
どの家も、カーテンが開いている。
人々が、窓辺に立っている。
全員が、東の空を見ている。
もうすぐ、その時が来る。
学校の最後の日 終日
記録者不明
今日、学校に子供たちは来た。
でも、授業はしない。
みんなで集まって、待っている。
言葉はもう、ほとんど使わない。
必要ない。
心が、完全につながっている。
先生も、子供も、用務員も。
みんな同じ。
みんな一つ。
明日、満月が昇るとき。
すべてが完成する。
日没後 午後6時
最後の人間の記録
日が沈んだ。
町中の人が、外に出ている。
三つの場所に集まっている。
学校、公園、神社。
そして、猫たちも。
もう、その数は数えきれない。
人も、猫も、境界はない。
明日、月が昇るとき。
私たちは一つになる。
本来の姿に還る。
これが、最後の記録。
もう、言葉はいらない。
にゃー。




