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第96話 9月27日(水)
朝の商店街 朝6時
新聞配達員の最後の記録
今朝の配達で、決定的な光景を見た。
商店街の人たちが、全員外に出ている。
まだ薄暗い時間なのに。
そして、全員が東を向いて立っている。
誰も話さない。
でも、何かを待っている。
月が沈む瞬間を待っているのか。
それとも、別の何かを。
配達を終えて、私も東を向いた。
なぜか、そうしたくなった。
学校での最後の授業 全日
各教室の様子
今日の授業は、どのクラスも同じだった。
教科書は開かない。
ノートも取らない。
ただ、教師と子供たちが向き合って座る。
そして、無言の時間が流れる。
でも、退屈そうではない。
むしろ、充実している。
言葉を超えた何かが、教室を満たしている。
もう、人間の授業は必要ない。
別の学びが始まっている。
夕方の招集 午後5時
目撃者の証言
夕方、町中の人が動き始めた。
家から出て、同じ方向へ歩いていく。
小学校へ向かう人。 公園へ向かう人。 神社へ向かう人。
三つの流れができている。
そして、猫たちも同じように移動している。
もう、人と猫の区別がつかない。
同じ目的を持った、仲間たち。
私も、もうすぐ仲間になる。




