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第93話 9月24日(日)
早朝の異変 朝5時
早起きした住民の証言
いつもより早く目が覚めた。
窓の外を見ると、道路に人影が。
たくさんの人が、静かに歩いている。
同じ方向へ。同じ速度で。
子供も、大人も、老人も。
そして、その列に猫も混じっている。
みんな、小学校の方へ向かっている。
カーテンの隙間から見ていると、向かいの家のドアが開いた。
田中さん一家が出てきた。
そして、列に加わった。
私も...行きたくなった。
でも、まだ早い。
もう少し...もう少し待てば。
日曜日の静寂 午後
町を訪れた人の記録
祢古町に用事があって訪れた。
町が、異様に静かだ。
人はいる。生活の音もする。
でも、話し声がしない。
商店も開いているが、店員と客の会話がない。
目と目で通じ合っているようだ。
そして、みんなどこか上の空。
時々、全員が同じタイミングで空を見る。
月でも探しているのか。
用事を済ませて、早々に町を出た。
あの静寂は、正常じゃない。




