第91話 9月22日(金)朝の放送事故
朝の放送事故 朝8時15分
放送室での出来事
朝の放送で、異変が起きた。
放送委員の6年生が、原稿を読み始めたが...
「おはようございます。今日は9月22日...に゛ゃー」
突然、猫の鳴き声が混じった。
あわててマイクを切る。
でも、教室からは反応なし。
むしろ、当然のことのように受け入れられている。
放送委員も、恥ずかしがる様子はない。
ただ、少し困ったような顔をしている。
言葉が、出にくくなっているのだ。
給食時間の完全同期 12時20分
全校の様子
今日の給食時間、完璧な同期が起きた。
全クラス、全児童が:
同時に席に着く
同時に手を合わせる
同時に箸を取る
同時に食べ始める
同時に食べ終わる
同時に片付ける
職員室のモニターで見ていた教頭が、震えた。
美しい。恐ろしいほどに美しい。
でも、これは正常なのか?
いや、もう正常の定義が変わったのだ。
下校時の集団移動 午後3時
通りかかった配達員の視点
仕事で小学校の前を通る。
ちょうど下校時間。
門が開くと、子供たちが出てきた。
でも、バラバラではない。
学年ごとに、完璧な隊列を組んでいる。
そして、無言で歩いていく。
目的地は同じようだ。
みんな、同じ方向へ。
まるで、巣に帰る蟻の行列のように。
いや、もっと優雅で、もっと神秘的だ。




