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第80話 9月11日(月)夏休み作品展
体育館での展示 朝
担任たちの視点
夏休みの作品を体育館に展示。
並べていて、気づく。
テーマがほぼ同じ。
「月の観察」「猫の生態」「町の変化」
そして、工作も似ている。
月の模型。猫の置物。
まるで、同じ指示を受けたかのように。
「これは...」
言いかけて、やめる。
もう、個性なんて必要ない。
みんなで同じ。それが心地いい。
見学に来た保護者の視点
わが子の作品を見に来た。
でも、どれがわが子の作品かわからない。
みんな、同じようなものを作っている。
名前を見て、ようやく見つける。
でも、それでいい。
みんな同じ。みんな一緒。
個性なんて、もう古い概念だ。
昼休みの校庭 12時45分
遊んでいる子供たちの視点
昼休み。でも、もう「遊ぶ」という感じじゃない。
みんなで集まって、円になって座る。
おしゃべりはしない。でも、通じ合っている。
時々、全員で同じ方向を見る。
そこには何もない。でも、何かを待っている。
先生が来ても、注意しない。
先生も、同じものを待っているから。




