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この町のネコ、やっぱりおかしい ー市立祢古小学校記録集ー  作者: 大西さん
第三部:静かな違和感(2023年9月)
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第75話 9月6日(水)

朝の登校指導 朝7時30分


交通指導員の視点


横断歩道に立つ。


子供たちが、列を作って歩いてくる。


信号が赤でも、誰も急がない。青になるのを静かに待つ。


そして、青になった瞬間、全員が同時に歩き始める。


「おはようございます」


挨拶も、全員同時。一つの声のように響く。


車のドライバーが、驚いた顔をしている。


この光景に慣れていない、町外の人だろう。


図工の時間 2時間目


図工教諭の視点


3年生の図工。テーマは「夏休みの思い出」。


子供たちが描く絵を見て、息を呑む。


全員が、同じ構図。


中央に大きな月。その下に、円を描いて座る人々と猫たち。


色使いは微妙に違う。でも、描いているものは同じ。


「これ、何?」


「夏休みの思い出」


「みんな同じ思い出?」


子供たちが顔を見合わせる。そして、頷く。


これは、個人の思い出ではない。


共有された、一つの記憶。


学童保育 午後3時


学童指導員の視点


宿題の時間。


いつもなら、ざわざわする時間帯。


でも、静かだ。鉛筆の音だけが響く。


そして、終わるタイミングが同じ。


「はい、終わり」


誰かが言うと、全員が鉛筆を置く。


自由時間になっても、バラバラに遊ばない。


みんなで円になって座る。


何をするでもなく、ただ座っている。


でも、退屈そうではない。むしろ、満足そう。

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