表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/169

第67話 8月30日(水)

・防災無線の担当者 朝


今朝の放送中、奇妙なことが起きた。


「おはようございます。今日も暑い一日に...」


マイクに向かって話していると、外から大合唱が聞こえてきた。


「にゃー、にゃー、にゃー」


窓の外を見ると、多くの住民が立ち止まり、スピーカーに向かって声を合わせている。


放送に合わせて、歌っている?


いや、もっと原始的な何か...


・理髪店の店主 午後


今日だけで5人の客。


全員「短くしてください」と同じ注文。


そして、切っていて気づく。みんな同じ場所に、同じような傷がある。


首筋に、小さな引っかき傷。


「これは?」


「わからない...でも、痛くない」


みんな同じ答え。


そして、髪を切り終わると、全員が同じ方向を向いて「ありがとう」と言う。


北東の方向を向いて。


・学校だより準備会議 夕方


9月1日発行の学校だよりの準備。


教頭、教務主任、広報担当で集まったが...


誰も原稿を書いてこない。


「すみません、最近文章が...」

「私も、言葉がまとまらなくて」

「伝えたいことはあるんですが...」


結局、例年の文章を使い回すことに。


でも、みんな同じことを感じている。


もうすぐ、言葉なんて必要なくなる、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ