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第64話 8月27日(日)

・カラオケ店の店員 午後


夏休み最後の日曜日。普通なら満室のはずが、ガラガラ。


来た客も、歌わない。


部屋に入って、ただ座っている。


マイクも持たず、画面も見ず。


「故障ですか?」


確認に行くと、首を振られる。


そして、小さく口ずさんでいる。


「にゃー、にゃー、にゃー...」


聞いたことのないメロディー。でも、なぜか懐かしい。


・寿司屋の大将の述懐 夜


客の注文が変わった。


「炙り物ばかり頼まれます」


いや、それだけじゃない。


食べ方も変わった。箸を使わない客が増えた。


「お箸は?」


「...手で」


そして、その手つきが妙に器用。


魚を骨ごと口に入れ、器用に骨だけ出す。


まるで...


いや、考えすぎだ。

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