表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/169

第52話 8月15日(火)

・町内会長の視点 夜


お盆だというのに、町が妙に静かだ。


例年なら、帰省した家族で賑わうはず。今年も帰省客はいる。でも、何かが違う。


夜回りをしていて気づいた。どの家も、同じような時間に明かりが消える。9時を過ぎると、急に静かになる。


そして、窓辺に人影。月を見ているのか?


今夜は満月に近い。確かにきれいだ。でも、これほど多くの家で...


翌朝、回覧板を回すついでに様子を聞いてみよう。


・栗田周平の視点 深夜


今夜も眠れない。


月がきれいすぎて、ずっと見ていたくなる。


部屋の窓から見える月。昨日より大きく見える。


体がむずむずする。特に手足の先。爪を切ったばかりなのに、もう伸びている気がする。


隣の部屋から、小さな物音。お母さんも起きているみたい。


廊下に出ると、お母さんも部屋から出てきた。


「眠れない?」 「うん...月が」 「私も」


二人でリビングに行った。お父さんもいた。家族みんな、月を見ていた。


言葉はいらなかった。ただ、同じものを見て、同じことを感じている。それがわかった。


・山田恵美(養護教諭)の個人的記録 深夜


自宅で、ふと気づいたことを書き留める。


最近、爪が伸びるのが早い。週に2回は切っている。


生徒たちの保健室利用も、内容が変わってきた。怪我や体調不良より、「爪切り貸してください」が増えている。


今日も3人。みんな「昨日切ったのに」と言う。


私も同じだ。


窓の外を見る。月が美しい。見ていると、安心する。


なぜだろう、この感覚は。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ