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第48話 8月11日(金)山の日

・キャンプ場管理人の記録 朝


祝日だというのに、客が少ない。


来ている家族も、普通のキャンプとは違う過ごし方をしている。


バーベキューはせず、持参した魚を焼いている。


子供たちは騒がず、静かに月を眺めている。まだ昼間なのに。


「月、見えますか?」と聞いたら、全員が頷いた。


確かに、薄っすらと白い月が見える。でも、普通は気づかないはずだ。


・消防団員の見回り記録 夜


山の日恒例の夜間見回り。


例年なら、花火の不始末や、キャンプファイヤーの不注意を注意して回る。


今年は、火の気がない。


代わりに、あちこちの家の庭に人影。みんな、空を見上げている。


「火の用心です」と声をかけても、ゆっくりとこちらを向くだけ。


その目が、月明かりを反射して光っているように見えた。


...見間違いだろう。

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