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第38話 8月1日(火)

・栗田周平の視点 朝6時


朝6時、いつもの公園に向かった。夏休みに入ってから毎日続けている猫の観察。今日で12日目。


公園に着くと、猫たちがいつもの場所にいた。黒猫3匹、三毛猫4匹、トラ猫3匹、白猫2匹、サビ猫2匹、グレー1匹。昨日と同じ顔ぶれ。


でも、何かが違う。


配置だ。昨日までは何となくバラバラに座っていたのに、今日はきれいな円を描いている。まるで誰かが並べたみたい。


「偶然かな...」


ノートに記録を取る。気温28度、晴れ。猫の数15匹。全員北東を向いている。


・山田さくらの母親の視点 朝6時30分


「周平くん、また猫の観察?」


犬の散歩で公園を通りかかった。栗田さんちの周平くんが、熱心にノートを取っている。


「はい、夏休みの自由研究で」


礼儀正しい子だ。でも、最近うちのさくらも猫の話ばかり。子供たちの間で流行っているのかしら。


猫たちを見て、少し違和感を覚えた。普通、これだけの数の猫が集まれば、誰かしら威嚇したり、距離を取ったりするはず。でも、この猫たちは...仲が良すぎる。


「毎日同じ時間に集まるんです」


周平くんが説明してくれる。確かに不思議だ。野良猫にこんな規則性があるなんて。


・公園管理人の視点 朝7時


朝の見回りで、また例の光景を目にした。


猫の集会。もう2週間は続いている。最初は5〜6匹だったのが、日に日に増えている。


清掃の邪魔にはならないし、ゴミを漁るわけでもない。むしろ行儀がいい。でも、何か引っかかる。


子供も来ている。栗田さんちの坊ちゃんだ。熱心に何か書いている。


円形に座る猫たち。その中心は空いている。まるで、誰かの席を空けているような...


いや、考えすぎだ。ただの猫の集まりじゃないか。


・役場・総務課の記録 午後2時


住民からの問い合わせ電話。


「最近、猫が増えていませんか?」 「野良猫の苦情ですか?」 「いえ、苦情じゃないんです。ただ、多いなと思って」


確かに、同様の問い合わせが7月末から増えている。しかし、被害報告はゼロ。ゴミ荒らし、鳴き声、糞害、一切なし。


むしろ「行儀のいい猫たち」という表現が多い。


対応に困る。問題がないなら、役場として動きようがない。

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