第25話 7月18日(火)
・朝7時 各家庭の朝食
町中の家庭で、似たような朝食風景。 焼き魚、味噌汁、ご飯、漬物。
「また魚?」 父親たちが言う。 でも、文句のトーンではない。 確認のような、納得のような。
「だって、みんな魚が好きでしょう?」 母親たちが答える。 「最近、肉より魚の方が美味しく感じるし」
子供たちは黙々と食べている。 魚の骨を、器用に口の中で外しながら。 その技術は、日に日に上達している。
・学校 給食最終日
最後の給食は、子供たちのリクエストメニュー。 アンケートの結果、1位は「サバの味噌煮」だった。
「魚が1位なんて、珍しいですね」 栄養士の橋本が首を傾げる。 例年なら、ハンバーグやカレーが1位なのに。
しかも、2位は「イワシの蒲焼き」 3位は「アジフライ」 上位はすべて魚料理。
「健康的でいいじゃないですか」 調理員が言う。 でも、その調理員も最近、魚ばかり食べている。
・給食時間 12時25分
「いただきます」 全校の声が、完璧に重なる。 もはや、この一体感は当たり前になっている。
サバの味噌煮を食べる子供たち。 その表情は、至福に満ちている。 まるで、大好物を食べているような。
そして今日も、牛乳は大量に残る。 もう誰も、牛乳を飲まない子を注意しない。 教師たちも、飲んでいないから。
・5時間目 大掃除
学期末の大掃除。 子供たちの動きは、もはや芸術的だ。
雑巾を絞る手つき、 窓を拭く軌跡、 机を運ぶ歩調。
すべてが計算されたように美しい。 そして、恐ろしく効率的。
通常2時間かかる大掃除が、 45分で完了した。 しかも、隅々までピカピカに。
「素晴らしいね」 田中校長が各教室を回りながら感心する。 でも、その目には一抹の不安も。 これは、本当に小学生の掃除なのだろうか。




