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第170話 2024年1月1日
2024年1月1日。
祢古町とその周辺は、新しい年を迎えた。 人間としてではなく、新しい種族として。
地下では、温かい世界が広がっている。 言葉はなくても、心は一つ。 個体はなくても、永遠の群れ。
そして、地上では雪が降り続く。 人間の痕跡を、優しく覆い隠しながら。
時折、他の地域から探索者が来る。 真実を求めて、答えを求めて。
しかし、帰る者はいない。 彼らもまた、選ばれた者となり、 新しい世界の一員となる。
祢古町の物語は、ここで一つの区切りを迎える。
しかし、どこかで小さな子供が、 母親に言う。
「お母さん、月がきれいだね」
「そうね」
「猫さんの声が聞こえる」
「...そう?」
母親は、窓の外を見る。 そして、気づく。 自分の爪が、昨日より伸びていることに。
物語は、静かに続いていく。 月の光と共に。 どこかの町で、誰かの中で。




