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第166話 12月20日(水)~21日(木)
12月20日(水)
冬至の日 夕方
隣々町の住民の証言
「祢古町の方から、歌が聞こえるんです」
最後まで人間の町に留まる人々も、 無視できない変化を感じている。
「どんな歌?」
「にゃー、にゃーって」
「でも、悲しい歌じゃない」
「むしろ、幸せそう」
そして、証言者の瞳が、 わずかに金色を帯びているのに、 誰も気づかない。
いや、気づかないふりをしている。
12月21日(木)
観察者の記録 午後
研究機関からの最後の調査
県の大学から、調査チームが来た。 祢古町の現象を科学的に解明するため。
しかし、境界を越えた瞬間から、 機器が正常に作動しない。
「磁場が...いや、これは」
「生体反応が、地下全体から」
「温度が...28度?真冬なのに」
そして、調査員の一人が呟く。
「美しい...」
「何が?」
「わからない...でも、呼ばれている」
調査は1時間で中断。 チームは撤退した。
しかし、3名が行方不明。 残されたのは、防護服と機材。 そして、雪の上の足跡。




