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第163話 12月10日(日)
新しい生態系 朝
窓からの観察
もう、店を開ける意味もない。 ただ、窓から外を見ている。
彼らが、堂々と歩いている。 もう隠れない。 四つ足で、群れを作って。
その中に、3日前のインフルエンサーたち。 スマホを首から下げたまま、 でも、もう使うことはない。
楽しそうに、じゃれ合っている。 言葉はなくても、通じ合っている。
私は、ただそれを見ている。 最後の観察者として。
訪問者 午後
予期せぬ客
ドアをノックする音。 久しぶりの、人間らしい音。
開けると、かつての隣人。 でも、もう人間ではない。
金色の瞳。 銀色の毛並み。 でも、私を見る目は優しい。
「にゃー」
挨拶のようだった。
そして、手招き...前足招きをする。 「一緒に行こう」と言っているようだ。
私は首を振った。 まだ、もう少しだけ。
隣人は悲しそうに、でも理解して去っていった。




