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第162話 12月9日(土)
雪原の足跡 朝
最後の観察
店の外は、一面の雪。 そして、無数の足跡。
昨夜、大移動があったようだ。 隣々町からも、多くが祢古町へ向かった。
足跡を見ると、途中で変化している。 最初は二足。 途中から四足。 そして、四足の足跡も次第に大きくなる。
成長しているのか、 それとも、本来の大きさに戻っているのか。
電話 午後
最後の通話
久しぶりに、電話が鳴った。 隣々町の、最後の商店から。
「まだ、いる?」
「ええ」
「私、もう限界」
「...」
「爪が、すごく伸びて」
「手が、変わってきて」
「でも、怖くない」
「むしろ...」
電話の向こうで、声が変わる。 高く、鼻にかかった声に。
「にゃー」
電話は切れた。 もう、かけ直すこともしない。




