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第160話 12月7日(木)
ラジオ局の最後 朝
地方局からの放送
隣々町のラジオ局から、最後の放送。
「こちらは...まだ放送してます」
「リスナーは、もういないかもしれませんが」
「記録として、残します」
「祢古町とその周辺は、無人となりました」
「いえ、正確には...」
「新しい住民がいます」
そして、パーソナリティの声が震える。
「私も、もう限界です」
「月を見たい」
「仲間に会いたい」
「人間でいることが、苦しい」
放送は、 「にゃー」 という声で終わった。
最後の抵抗 夜
雑貨店にて
店に、一人の男性が逃げ込んできた。 隣々町から来たらしい。
「助けて」
「どうしました?」
「家族が...みんな変わって」
「そして俺を、誘うんだ」
男性の手を見る。 爪が伸びている。 耳も、少し形が変わっている。
「もう、始まってますね」
「いや、俺は人間だ」
「どうでしょうか」
男性は、鏡を見て絶句した。 瞳が、金色に変わり始めている。
「いや...いや...」
でも、抵抗は長く続かなかった。 朝には、彼もいなくなっていた。 雪の上に、四つ足の足跡を残して。




