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第158話 12月5日(火)
雪の中の生活 朝
境界付近での目撃
朝、用事で境界近くへ。
雪原に、彼らがいた。 20体ほどの群れ。
日向ぼっこをしている。 雪の上で、体を寄せ合って。
その中に、見覚えのある顔。 いや、もう人間の顔ではないが、 面影は残っている。
隣町の、元町長。 元教師。 元医者。
みんな、同じ姿になっている。 そして、同じ表情。 穏やかで、満足そうな表情。
私と目が合った。 手招き...いや、前足招きされた。
逃げるように、町に戻った。
残された者たちの会合 夜7時
隣町公民館にて
残った住民で集まった。 15名。
「このままここにいても...」
「でも、どこへ行く?」
「他の町も、似たような状況らしい」
誰かが言った。 「いっそ、祢古町へ...」
全員が、同時に顔を上げた。 同じことを考えていたのだ。
「でも、人間でいたい」
「本当に?」
「...」
答えられない。 みんな、迷っている。
会合は、結論が出ずに終わった。 でも、全員が理解していた。 時間の問題だということを。




