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第150話 11月25日(土)
政府の対応 午前
対策本部の設置
政府が重い腰を上げる。
しかし、もう手遅れ。 いや、最初から止められなかった。
「封鎖します」
「何を?」
「該当地域を」
「どこまで?」
「...わかりません」
次の町でも、同じ兆候が。 月を見る人々。 猫に優しくなる人々。 爪が伸びる人々。
止められない。 止める理由もない。
だって、彼らは幸せそうだから。
研究者の最後の考察 午後
大学研究室にて
最後まで残った研究者。
「これは侵略ではない」
「では?」
「回帰だ」
「何への?」
「本来の姿への」
研究ノートの最後のページ。
『人類は、一時的な存在だったのかもしれない 月の民が、地球環境に適応するための 仮の姿だったのかもしれない そして今、その必要がなくなった』
ペンを置いて、窓の外を見る。 月が、昇り始めている。
「私も、そろそろ...」




