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第142話 11月16日(木)
地震計の異常 午前
気象台の記録
祢古町の地下で、微振動を観測。
地震ではない。 もっと規則的で、もっと有機的。
まるで、巨大な何かが呼吸しているような。 周期は、約15秒。 深く、ゆったりとした呼吸。
そして、その振動に呼応するように、 隣町でも微振動が始まる。
人々の歩くリズムが、 振動に合わせて変化している。
気づいているのか、いないのか。
手紙の配達 午後
郵便配達員の体験
祢古町宛ての郵便物。 相変わらず配達できない。
しかし、今日は違った。 境界に立っていると、何かが近づいてくる。
四つ足の、でも郵便カバンを持った何か。
「あ...」
それは、先月まで同僚だった配達員。 いや、配達員だったもの。
毛に覆われ、四つ足だが、 制服の残骸を身に着けている。
郵便物を渡すと、 「にゃー」 と鳴いて、受け取った。
そして、器用に四つ足で、 町の中へ消えていった。
「ありがとう」 そう言われた気がした。




