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第125話 10月26日(木)27日(金)
■10月26日(木)
静寂の前 終日
近づけない町
もう誰も、祢古町に近づけない。
見えない壁があるわけではない。
ただ、本能的な恐怖と、奇妙な憧れが混ざり合い、足がすくむ。
町は、完全な静寂に包まれている。
建物は残っているが、もう人間のものではない。
新しい住人たちのものだ。
準備 推測
小学校の体育館から、光が漏れている。
金色の、暖かい光。
何かが、準備されている。
28日の新月に向けて。
最後の、そして最初の儀式の準備が。
■10月27日(金)秋の遠足
もはや遠足ではない
この日、低学年の遠足が予定されていた。
しかし、もう人間の子供はいない。
代わりに、若い個体たちが群れを作って移動する。
森へ向かって。
本能的に、自然の中へ。
これが、新しい形の「遠足」。
人間の行事ではなく、群れの移動訓練。
最後の金曜日
祢古町にとって、最後の金曜日。
もう、曜日の概念もなくなりつつある。
あるのは、月の満ち欠けだけ。
明日は、月齢28日。
そして明後日、新月。
すべてが完成する日。




