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第121話 10月22日(日)
日曜日の静寂 朝
隣町から様子を見に来た人
祢古町の様子が気になって、車で来た。
でも、町に入れない。
物理的な障害はない。
でも、入ろうとすると、強い抵抗を感じる。
ここは、もう人間の町ではない、と。
遠くから見る限り、建物は無事。
でも、人の姿が見えない。
いや、よく見ると、動いている影がある。
屋根の上、塀の上、道路上。
四つ足の、しなやかな影。
そして、時折聞こえる声。
「にゃー、にゃー」
もう、この町は彼らのものだ。
商店街の日曜日 午後
最後まで開いていた店の店主
今日で店を閉める。
もう、人間の客は来ない。
来るのは、かつて人間だった者たち。
毛皮に覆われ、四つ足で歩き、でも優しい瞳をした者たち。
彼らは、もう買い物をしない。
ただ、挨拶に来る。
「にゃー」
私も答える。
「にゃー」
もう、言葉はいらない。
今夜、私も店を閉めて、仲間に加わろう。
月のない夜に向けて。




