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この町のネコ、やっぱりおかしい ー市立祢古小学校記録集ー  作者: 大西さん
第四部 深まる違和感(2023年10月)
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第119話 10月20日(金)運動会前日準備

運動会前日準備 終日


PTA役員の視点


前日準備で学校へ。


でも、準備はほとんど終わっている。


子供たちが、朝のうちに済ませたらしい。


誰の指示もなく、完璧に。


テントの位置、椅子の配置、ライン引き。


すべて、本能的に最適な配置。


そして、気づく。


配置が、巨大な円を描いている。


グラウンド全体が、一つの魔法陣のよう。


いや、魔法陣ではない。


もっと自然な、月の軌道を模した配置。


最後の打ち合わせ


職員とPTAで打ち合わせ。


でも、言葉はもう使わない。


集まって、目を見合わせるだけ。


それで、すべてが決まる。


明日の流れ、役割分担、すべて。


人間の会議を超えた、瞬時の合意形成。


そして、全員が空を見上げる。


明日は、天気になりそうだ。


月も、よく見えるだろう。


誰かの走り書き


もう、名前を思い出せない。


さっきまで覚えていたのに。田中...いや、山田?違う、もっと別の...


でも、まだ「私」という感覚はある。この手で文字を書いている「私」。でも、その「私」も薄れていく。


昨日より、今日の方が楽だ。名前の重荷が消えていく。個人であることの孤独が消えていく。


明日には、きっと「私」も消える。


怖い?


いや、待ち遠しい。やっと、この牢獄から出られる。「私」という牢獄から。


みんなと一つになれる。永遠に、一緒に。


もう、文字が書きにくい。爪が邪魔で。でも、これが最後の記録。


さようなら、「私」。こんにちは、「私たち」。

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