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第118話 10月19日(木)
運動会の準備 朝
体育主任の視点
土曜日の運動会の準備。
でも、もう人間の運動会ではない。
プログラムを見る。
①群れの行進
②狩りの演舞
③月への祈り
④大いなる統合
誰がこれを作ったのか。
いや、みんなで作った。
言葉を使わず、心で通じ合って。
これが、最後の運動会。
人間としての、最後の行事。
最後の給食会議 午後
栄養士・橋本の記録
来月の献立を決める会議。
でも、もう必要ない。
みんな、同じものを食べたがる。
魚、魚、魚。
それも、生に近いもの。
「11月からは...」
言いかけて、気づく。
11月は、来ないかもしれない。
10月28日で、すべてが変わる。
給食という概念自体が、なくなるかもしれない。
夜の職員室 午後7時
残業していた教師たち
書類仕事で残っている。
いや、書類はもう書けない。
ペンが持てない。手の形が変わって。
代わりに、みんなで月を見ている。
職員室の窓から、東の空を。
月齢17日。もうすぐ下弦。
そして、新月へ。
「あと9日」
誰かがつぶやく。
いや、つぶやいたのではない。
心に直接響いてきた。
あと9日で、私たちは完成する。




