第116話 10月17日(火)
朝の職員室 朝7時30分
最後まで抵抗していた教師
私は、まだ人間でいたいと思っていた。
でも、もう限界かもしれない。
職員室に入ると、同僚たちが円になって座っている。
床に。
椅子があるのに、床に。
そして、お互いに毛づくろい...いや、髪を整え合っている。
「おはよう」
言葉で挨拶すると、全員がこちらを向く。
金色の瞳が、一斉に。
そして、優しく「にゃー」と鳴く。
仲間に入れ、と誘っている。
抵抗できない。
もう、抵抗する理由もない。
給食時間の完全なる統合 12時20分
給食室から見た光景
今日の給食時間、ついに起きた。
全校が、一つになった。
同時に食べ始め、同時に咀嚼し、同時に飲み込む。
82人が、一つの生き物として食事をしている。
そして、音。
咀嚼音が、リズムを刻んでいる。
原始的な、でも心地よいリズム。
これは、もう給食ではない。
群れの、共同摂食だ。
日没後の集会 午後5時
偶然通りかかった人の証言
仕事帰りに、小学校の前を通った。
校庭が、光っている?
近づいてみると、たくさんの目が光っていた。
数百の、金色の瞳。
大人も子供も関係ない。
みんな、同じ瞳をしている。
そして、歌っている。
いや、祈っている。
月に向かって、何かを祈っている。
美しくて、恐ろしくて、でも引き込まれる光景。
私も、もうすぐあちら側に行くのだろう。




