第109話 10月10日(火)
朝の登校 朝7時45分
見守り隊の最後の記録
もう、見守りの必要はないかもしれない。
子供たちは、完璧に統制されて登校する。
車が来れば、全員が同時に止まる。
信号が変われば、全員が同時に歩き出す。
そして、今日気づいたこと。
子供たちの影が、おかしい。
朝日に照らされた影が、人間の形をしていない。
耳が尖り、手足が...
いや、見間違いだ。
きっと見間違いだ。
でも、私の影も、少し変わっている気がする。
授業風景 2時間目
2年生の担任の視点
国語の授業。
教科書を開くが、もう誰も見ていない。
代わりに、私を見ている。
42の瞳が、じっと私を見つめている。
言葉で教える必要はない。
思考を送るだけで、伝わる。
今日の物語を、心で語る。
子供たちが、満足そうに頷く。
これが、新しい授業の形。
言葉を超えた、直接的な学び。
給食後の異変 午後1時
保健室から見た養護教諭
給食後、いつもなら数人は保健室に来る。
でも、10月に入ってから、誰も来ない。
窓から校庭を見る。
子供たちが、日向に集まっている。
そして...
毛づくろいをしている?
いや、違う。
お互いの髪を整えているだけ。
でも、その仕草が、完全に...
考えるのをやめる。
もう、人間の基準で判断してはいけない。




