第103話 10月4日(水)
登校風景 朝7時45分
通学路の店主の視点
店の前を、子供たちが通る。
10月に入ってから、歩き方が変わった。
もっと軽やかに、もっと静かに。
足音がまったくしない。
そして、隊列も変わった。
学年別ではなく、もっと有機的な群れ。
大きい子が外側、小さい子が内側。
まるで、群れで移動する動物のように。
弱い個体を守りながら移動している。
美しい。
自然の摂理に従った、美しい隊列。
音楽の授業 2時間目
音楽教諭・田村の視点
3年生の音楽。
今日は楽器の練習...のはずだった。
でも、楽器を配る前に、子供たちが歌い始めた。
「にゃー、にゃー、にゃにゃー」
あの歌。9月から歌われている、あの歌。
でも、今日は違う。
もっと複雑で、もっと美しい。
ハーモニーが幾重にも重なり、教室を満たす。
私も、つい歌いそうになる。
いや、歌っている。
いつの間にか、指揮をしながら歌っている。
人間の音楽を超えた、新しい音楽。
昼休みの校庭 12時45分
他校から転勤してきた教師の視点
4月に転勤してきて半年。
この学校の変化に、ついていけない部分もある。
昼休みの校庭を見て、また驚く。
子供たちが「遊んで」いない。
ただ、日向に集まって、体を寄せ合っている。
日向ぼっこ?
でも、その姿勢が...
完全に脱力して、地面に体を預けている。
まるで...
思考を止める。
比較するのは失礼だ。
彼らは彼らの方法で、休息している。




