第102話 10月3日(火)
朝の健康観察 朝8時20分
各担任の記録
健康観察の時間。
でも、もう名前を呼ばない。
呼ぶ必要がない。
全員がいることは、感じでわかる。
そして、健康状態も。
みんな、完璧に健康。
いや、健康を超えている。
体温:37.2度(全員同じ) 脈拍:安静時50(全員同じ) 呼吸:1分間に10回(全員同じ)
人間の基準から、少しずつ外れている。
でも、誰も病気ではない。
理科の実験 3時間目
宮田理恵の視点
6年生の理科。
顕微鏡で細胞を観察する授業。
子供たちが顕微鏡を覗く。
でも、レンズを覗いていない。
顕微鏡の横に顔を寄せて、直接プレパラートを見ている。
「見える?」
「見える」
肉眼で、細胞が見えるというのか。
試しに私も真似てみる。
見えない...いや、見えてきた。
ぼんやりと、細胞の輪郭が。
私の目も、変わり始めている。
掃除時間の異変 午後1時15分
用務員・小林の視点
掃除時間の見回り。
廊下で、奇妙な光景を目にする。
雑巾がけをしている子供たち。
でも、その姿勢が...
四つ足で、器用に雑巾を操っている。
しかも、その方が速い。効率的。
注意しようとして、できない。
だって、理に適っているから。
人間の掃除方法より、ずっと。




