標的《敵》
皆さん初めまして松平刀誠です。僕自身初めて小説を書いたので僕なりに考えました。
あまり前書きに何を書いたらわからないのでここらで終わりたいと思います。それではお楽しみください。
--ターゲットは見つけたか--
「ああ」
--奴は裏の世界では有名な殺し屋だ。俺たちにいつ牙を向いてくるかも分からん。だから俺たちにとっては脅威だ。なんとしてでも殺せ--
「....了解...」
(殺し屋を殺す殺し屋...か...これじゃあどっちが悪か分からないな...)
カチッ... パァン
--基地本部--
俺は射止留衣。とある組織で殺し屋をしている者だ。ここでは事情がある人や裏の仕事をしているやつが集まっている。かといって殺伐としているわけでもなく、立場関係なく皆仲良くしているから生活しやすい世界だ。だけど仕事となれば事情は変わる。殺し屋にとって依頼とはいわば己の実力を示す貴重な機会でもあるため、邪魔をするようであれば喧嘩または殺し合いにまで発展することもある。とまあ、仕事以外は楽しく過ごせるってことだ。ちなみに俺はちょうど今基地に帰還したところだ。
「はぁ~あ...」
帰還して早々ため息をついていると
「おーい、おかえり~」
誰かが来た
「ただいま、成行」
こいつは成行、俺の同期だ。成行とは長い付き合いで、よく一緒に行動を共にしてる。
「また依頼解決したらしいな。さすが留衣」
「ああ。まあ長くやってりゃこんなもんよ」
「でもお前、よくそんな銃でやれるよな。それ、結構古い銃じゃないのか?」
確かに俺が殺す際に使う狙撃銃が古い銃を使っている。俺が使う銃はレミントンM24。自衛隊や米軍でも未だに使用されてる古き良き銃だ。
「まあな。でもこいつが一番使いやすいんだ。」
「殺し屋にとって自分の武器は自分の手足同然だからな。大切にして当然だな」
「ああ」
「そういえば今日の昼飯、カツカレーらしいぜ」
「ほんとか!?ならゆっくりしてる場合じゃないな。急ぐぞ成行!」
「ちょ、ちょっと待って!」
俺たちは食堂に向かった。
「いや~やっぱりうまいなぁ」
「だな。ここの飯が一番うまいぜ」
「なあ射止。知ってるか?」
「なにがだ?」
「ここ最近、暗殺の依頼が増えてるんだってよ」
「ほう....」
「射止って暗殺の仕事得意だろ?だったらこの機会を逃す気更々ないだろ?」
「それが本当ならそうだな」
「まあ、あくまで増えてきてるってだけだから自分のところに依頼が来るとは限らないからそこはなんとも言えないけどな」
--ピッ...こちら指令本部..応答せよ...--
「なんか通信が入ったな」
「しかも司令本部からか....」
「.......」
「早く出ろよw」
「ああ、わかった」
「こちら射止、どうぞ」
--至急..司令本部に集合せよ...以上...--
「...了解...至急向かう」
「なんか....やらかした?」
「んなわけないだろ」
「けど、本部から通信って相当だぞ?」
「まあ、確かに...よっぽどのことじゃないと呼ばれないからな」
ここでひとつ説明しよう。ここでは組織の中でいくつかの部に分かれている。まず、一番上の司令本部。二番目の情報統率兼組織内保安委員会、三番目は雇用主。そして最後、俺たち実行犯またの名は傭兵とも呼ばれてる。この4つの部に分かれていて、今呼び出されたのは一番上の司令本部だ。本部では依頼のミスや組織内での悪行をしない限りは滅多に呼び出されることはない。
「とりあえず行ってこれば?まだ、なにって言われた訳じゃないし」
「...そうだな...んじゃ、行ってくるわ」
―司令本部
コンコンコン
「射止です。失礼します」
「うむ、入りたまえ」
(ここが...本部か....)
「...それでなぜ呼ばれたか....分かるか?」
「...いえ...」
「まあ...そうだろうな...」
「........」
本部...すなわち、一般人はもちろん雇用主ですら入ることが禁じられてる場所である。一定の階級ですら入ることは難しい。そんな場所に呼ばれた射止は大丈夫だろうか
「まあ、座るといい」
「ではお言葉に甘えて」
「少し、世間話でもしよう」
ギシッと音がなる椅子はすこし年季の入った椅子で昔から使われていたもののようだ。
「それで...最近依頼の方はどうだ?」
「えっと...楽しくやって...います?」
「そうか...それは良かった」
(この質問に何の意図が....)
「...クックックッ...」
突然笑い始めた
「?」
「ハハハハ!その顔、何か意図があると思ってるな?」
「あ、いや...」
「まあ突然呼び出されて、依頼の方はどうだと聞かれれば怪しく思うなと言われるほうが難しいな」
「...」
「まあ長話もあれだ。ここらで本題に移ろう」
「はい」
「ここ最近、暗殺の依頼が増え始めていることは知っているな?」
「もちろんです」
「うむ、依頼を頼むのも一苦労でな。その依頼に合う人を選ばなければならないんだ。資料を見て、実績も見てそれで初めて依頼を頼める。」
(なるほど...裏ではそんなことが...)
「そこで、君の資料を見つけたんだ...もうわかるね」
「ハッ....!」
「そういうことで君に頼みたい依頼がある...良いか?」
「はい...!」
「よし、これから頼む依頼は君にしか頼めない依頼だ。その依頼は.....」
―依頼の説明を受けてから数分後―
「......ということだ。わかったか?」
「了解です」
「うむ、それでは頼んだぞ」
「失礼しました」
キィィィ...ガチャッ
「さあ、この依頼を受けてどう動くかな....あの子は...」
―基地本部―
「お前!それほんとか!?」
「ああ、ほんとだ」
「いやいやいや、本部直々に依頼されるとか前代未聞だろ!」
「俺もそう思ってるからこそ失敗したくない」
「羨ましいぜ...俺のほうが上だと思ってたんだけどなぁ」
「おやおや、これはこれは...」
話していると誰かが割って入ってきた。
「誰だ?お前」
「なんだと!?この僕を知らないのか!?」
「うん、知らない」
「んで、誰なの?」
「まあ仕方ない...君たちのような奴らに僕の実績など聞きもしないだろう。良いだろう!特別に教えよう...僕の名は西水成田。この組織で上位の人だ!」
『そうなの?』
『いや...だとしたら噂ぐらいあるだろ』
『まあ、確かに』
「僕はこれから特別な任務があるから失礼するよ」
「あと、君たちのような人たちはせいぜい普通の依頼でもこなしてな。じゃあな」
スタスタスタ
「なんだったんだ?」
「さあ、只のかまってちゃんだろ。もしくは冷やかしのどちらか」
「とんでもないやつがいたもんだな」
「な」
「んま、そういうことで準備するから先に失礼するぜ」
「おう、頑張ってこいよ」
―自室―
ギシッ
「俺にしかできない依頼....ねぇ....」
射止はこの組織に入って2年目。そんな彼がたった2年で本部に特別視されることはしてないはずなのに、どうして今日頼まれたのか不思議で仕方がなかった。そんなに特別ならもっと実績のある人に頼むべきなのに
「まあ、引き受けちまったならやるしかない。
まさか、女を殺すことなるとはな...」
―数時間前の司令本部―
「その依頼はある女を殺すことだ」
「なるほど...」
「と言っても我々組織に脅威があるわけではない。ただ、その女がこの先脅威になりえるかも知れないんだ」
「........」
射止は今までどんな依頼でも忠実にこなしてきた。どんな無茶でもどんな状況でも。ただ、今回は違う。それは"女"を殺すことだ。しかも詳細不明、何歳で何をしているのかすらも分からない。そんな性別しかわからない人を殺せなんてことはこれが初めてだった。
「....射止くんよ、大丈夫か?」
「あっはい、問題ありません」
「そうか、なら頼んだぞ」
「はい」
「あとこれを持っていきなさい」
「これは?」
「ガンケースだ。君の愛用している銃では大き過ぎるからそれに入れていきなさい。それに今回の依頼は市街地だ。銃なんてものをさらけ出しながらいれば、君の人生は一瞬でおしゃかだ。詳細を教えてないから当日は私もモニタリングさせてもらう。とまあ、ということだ。わかったか?」
「了解です」
―現在―
「しかし...どうして教えてくれなかったんだろうな...」
「にしても、ただ普通に生きてるだけで勝手に脅威扱いになるなんて可哀想だなぁ....だが、標的と選ばれた以上性別関係なく敵だ...すまないが殺らせてもらうぞ」
「さて、明日は任務だしさっさと準備して寝るか」
明日の依頼に備えて寝ることにした
―翌日―
チュンチュンチュンチュン
「......さて....やるか」
朝起きてまずやることは銃の点検だ。俺の依頼は銃が必須で常に最高の状態でなければならないんだ。いざ仕事場に行って銃が故障して死んじまったなんてしたら最悪だ。だから朝起きたら一番に銃の点検をすることにしてる。
「よし...これで良いだろ」
そして次は着替えと飯だ。着替えは自室でできるが部屋によっては2人部屋とか4人部屋とかあるから着替えるときに気を遣ったりするけど、今のところ俺の部屋には俺一人しかいないから気を遣わずに済むから助かるんだけどな。
んで、飯は食堂でも食べることはできるが食堂に行く途中やいろんな所に売店があるからそこから朝食や間食を調達することができるから、食べる場所に関してはほとんど自由だ。
でも俺は、誘いが無ければ部屋で食べるようにしてる。
「さて、朝飯買いに行ってくるか」
「今日は何があるかなぁ」
ここの売店は日によって品変わりするから食に関しては退屈することはない。
「おっ、今日はカツパンがあるじゃないか。しかも最後の一個、ラッキー」
「すみませーん、会計お願いしまーす」
「はーい」
こうして最後のカツパンを買って部屋に戻った
―自室―
「ん~!やっぱりうまいなぁ!カツパンはいつ食べても良いなぁ」
「さて、装備品の確認をしようかな」
「弾倉よし...銃よし...双眼鏡...あれ?どこやった?」
「あ、あったあった。よし、これで全部かな」
ピー...ピー...
装備品の確認をしていると通信が入った
「こちら射止、どうぞ」
--やあ、射止くん--
「おはようございます、総司令」
--うむ、おはよう。今から出撃かい?--
「はい、そのつもりです」
--そうか、では出撃する前に司令本部に来てくれ渡したいものがある--
「了解です、それでは後程」
--待っているよ--
ピーー....
「渡すものってなんだ?」
当日に渡すほどの物が何かわからないがとりあえず司令本部に向かうことにした
―司令本部―
コンコンコン
「失礼します」
「おや...案外早く来たな。とりあえず座ってくれ」
「はい」
「すまないね、出撃前に呼び出してしまって」
「いえいえ、タイミングが良かっただけです」
「そうだな」
「それで、渡したいもというのは...」
「ああ、これだ」
「これは...通信機...?」
総司令からもらったものは小型の通信機だ。
形はイヤホンに似ている。
(通信機?すでに持っているけど...)
「昨日は言い忘れていたがこの依頼は極秘の依頼だ。よって、一般で使われてる通信機より機密性の高いこの通信機をつけてもらいたい。」
「なるほど...」
(極秘の依頼...たった一人の女を殺すための依頼....)
「それと昨日はモニタリングすると言ったが本当は別の場所から君に指示を出すからあまり緊張しなくて良い」
「私からは以上だ。なにか質問はあるか?」
「.....」
「無ければ早速依頼を開始するが...」
「....総司令!」
「どうした?」
(今回の依頼は将来脅威になりえる人物を殺すこと....けど、この依頼を終えたあと世界は本当に変わるのか...?俺にはこの依頼をこなす意味は....)
「....この依頼を終えたあと、たった一人の女を殺したあと何か変わるんですか?」
「……」
しばらく考え込んだ後口を開いた
「私は...この依頼を終えたあと、世界が変わるとは思っていない」
(やっぱり...!)
「なら、この依頼をこなす意味は...!」
と言いかけたところで塞ぎ込むように言った
「だが、少なくとも君の人生は変わるんじゃないかと思ってる」
「.....それは....どちらの意味ですか?」
「それはやってみなければわからない」
「そう...ですか...」
納得できない...けど...納得するしかない....
「質問は以上か?なら早速依頼を開始してもらう」
「了解です。射止、依頼を開始します」
「うむ、健闘を祈る」
こうして俺は現場に向かった
--現場--
「ちっ...どうしても殺る意味を見出だせない」
現場に着いたあとも納得できていなかった。
その女がもし幼ければどうする?本当に殺せるのか?そんな自問自答を繰り返していた
ピー...ピー...
「こちら射止」
--所定の位置に着いたか?--
「着きました」
--そろそろ目標が見えてくる。準備してくれ--
「了解」
という通信が入ると射止は背中に背負っていた鞄からガンケースを取り出し、その中からバラバラになった部品を組み立ていく。その洗礼された動作は迷いがなく、一個一個丁寧に組み立てていく。
「よし...」
そして完成した銃はきれいに整備された状態を維持して現れた。
そして弾倉を銃に装填しコッキングレバーを引き、薬室に弾を送り込んだ。
「こちら射止、準備完了。いつでも撃てます」
--了解、そのまま待機していてくれ--
「了解した」
そして指示が出るまで待機することになった。
(ここまで来たんだ...もう後戻りはできない)
射止はそのあとも考え続けた
(そもそも、殺すんじゃなくて監視対象にすればいいのに。そっちのほうがこっちも手を汚さずにすむし標的も死なずに済む....まあ結局、なにかしたら始末するんだけどね...)
そんなことを思っていると通信が入った
ピッ
--射止、もうじき標的が現れる。構えろ--
「了解」
と言われると腕に抱いていた銃のバイポッドを展開し射撃の姿勢をとった。
「位置と距離を」
--方角は南西、距離569メートル--
「了解」
(南西と569メートル...ここら辺か)
「目標の特徴は」
--特徴は黒髪ロングヘアーの制服を着ているの3人組の真ん中だ--
「了解、黒髪ロングヘアーの制服.....」
と言われてスコープを覗き込むとそこに映ったものはなんと高校生だった。
(制服!?いやいやいや!今回の目標って高校生なの!?)
--見つけたか?--
「あ、はい...見つけました...」
--なら、あそこは開けてるから自分のタイミングで撃て--
「りょ、了解」
(撃てって言ったって、相手は高校生だぞ?本当に殺して良いのか?いやいやいや、ダメに決まってるだろ...)
しばらく黙った後こう考え始めた
(いや....この依頼は組織が直々に出したものだ。
そんな依頼を俺のようなやつの判断でダメにしてはダメだ。これは俺のためじゃない、組織の為だ)
と考え直し再び射撃の姿勢をとり引き金に指を掛けた
(集中しろ...いつも通りやればいい。標的は敵だ。性別年齢は関係ない...年齢....)
(標的は高校生、人生なんてまだまだ。むしろこれからが楽しみな時期だ。しかも女の子だぞ?もしかしたら、弟妹とかいるかもしれないのに、それなのに....)
(ん?弟妹?うっ...頭が...)
考え込んでいると突然頭痛に見舞われた
(弟と妹?どうして...)
ピッ--射止、標的が隠れてしまうぞ。早く撃て--
(ああクソ!どうにでもなれ!)
そして覚悟を決め引き金を引いた
パァン
(引いちまった...)
(そうだ!あの子はどうなった...!)
と青ざめていると通信が入った
ピピッ
--標的の生存確認をしてくれ--
「りょ、了解...」
力が抜けた体を起き上がらせて、そばに置いてあった双眼鏡で見るとその子は無事だった。
(あぁ...良かった...当たらなくて...)
どうやら発射した弾は引き金を引いた反動で銃がバランスを崩し明後日の方向へ飛んでいったようだ。当たらなかったことを安堵した後報告をした
「総司令...標的、仕留められませんでした...」
--.....そうか....射止くん...今回の依頼は失敗だ。よってこれより帰還してくれ、今なら幸いまだ気付かれていない。サプレッサーをつけていたおかけでな。それと帰還したら君に話すことがある、司令部まで来てくれ。
「....了解です...」
(まあ、軽くてしばらくの謹慎か最悪は....)
この組織のような世界ではミスをした場合、社会ではクビになることが多いが、裏の世界を知ってしまった者は殺されることがある。
「まあ、どっしりと構えてますか...早く帰還準備しよう」
帰還するために片付けを始めた
「よし、証拠も消したし大丈夫そうだな」
「見つかる前に帰ろ」
片付けを終えた射止は現場から離れた商店街まで逃げることに成功した
「よーし、現場から離れたしもう大丈夫だろ」
「まさか失敗するとはなぁ.....この先が不安だぜ...」
と失敗を悔やんでいると道端に痩せ細った子供が座っていた
「おい、大丈夫か?」
「..........…」
と声をかけても返事はない
「まあ、その様子じゃ大丈夫じゃなさそうだな。親はいるのか?」
そう聞くと子供は喋りだした
「親はいない、僕を捨てたんだ」
「...そうか」
どうやら捨て子だったみたいだ。肉付きや服装から見るに既に数日は経っているように見える
「お兄さんも僕を見捨てるんでしょ?」
「ああ、そうだな」
「やっぱりそうだ....誰も助けてくれないんだ」
「........」
射止は少し考えたあと口を開けた
「見捨てるが完全にではない」
「どういうこと?」
「お前に金を少し渡す。これで食べ物とか買って生きてくれ。まあ、ほんの少ししかないけどな」
と言って五千円ほど子供に渡した
「え?え?」
子供は困惑していた。それはそうだ、子供からしたら五千円なんて大金に等しいからな。だけど子供一人生き残るためには少し心もとないが、2日は耐えられるだろう。
「あと、無理だと思ったらここに電話しろよ」
と言って適当にちぎった紙に基地のコールセンターの電話番号を書いて渡した。
(まあ、俺が所属する基地なら子供の一人ぐらい保護するのは問題ないだろ)
「俺にできることと言ったらこんぐらいしかない。許してくれよ」
と言って立ち去ろうとすると
「お、お兄さん!」
「んあ?どうした?」
「その...お金、ありがとう!恩は必ず返すから!」
と言われた
そんな子供の目には今まで霞がかかっていた目に微かに光が入っていた。
「ああ、いつかな」
「うん!」
そして子供を背にまた歩き出した
だがこの先、あんなことが起こることは射止は
知るよしもないだろう。
「まあ、あの子が恩を返す頃には俺はいないかもしれないな」
そして不安を抱えながら基地に帰還した。
-基地内-
「おかえり!射止!どうだった?成功したか?」
「あぁ、成行か...」
「お~どうしたんだ?元気がないじゃないか」
「.........…」
「...まさかとは思うが....」
「ああ、そのまさかだ」
「それは...ほんとか?」
「...うん」
「......」
しばらく話をした後しばらく沈黙が続いた
「......」
「なあ」
沈黙を切り裂くように成行が口を開けた
「どうした?」
「もし、もしだよ?これで処分が決まったらもう会えないのか?」
「まあ、そうなるな」
「確率は...」
「まあ、五分五分ってとこだな」
「そうか...」
「そろそろ行かねぇと。総司令直々に話すことがあるらしい」
「...そうか...なら行かせねぇとな」
「ああ、サンキュな」
「いや...大したことないぜ!また会えるさ」
「ああ、そうだな」
そう俺に言った成行の顔は一見なんともない顔をしているがどこか悲しそうな顔をしていた。今にも泣き出しそうなほどに。
「じゃあ、またな」
と言い、司令本部に向かった
--司令本部--
コンコンコン
「失礼します」
「...入りたまえ」
「......」
「依頼...ご苦労だった」
「はい...」
「それで...なんで失敗したと思う?」
「それは....」
「.....」
「それは、俺の躊躇が原因だと思います」
「そうか...」
「.......」
(ああ、そうだ。あの時確かに引き金を引くことに躊躇した。そのせいで依頼は失敗したんだ。責任は全て俺にある)
「君は...今回の依頼を失敗してどう思ったんだい?」
「...俺個人の感情で失敗をしてしまった...と」
「そうか...」
(さあ、どうなる)
「君の処遇は既に決まっている」
「っ...」
「それは...」
「そ、それは...」
「プランBに変更し君に潜入調査に向かってもらう」
「.....へ?」
「ん?どうしたんだ?」
「いや、重い罰を受けるかと...思ったのですが...」
「別に一回失敗したからと言ってクビにするわけじゃない。ましてや、君のような有能な人間をクビにするなんてこちらの損失しかないがね」
「そ、そうなんですか?」
「うむ」
(あぁ...良かった...)
「ぐすっ....」
「ちょ!どうしたんだい?」
「いや、まだここに...ひっぐ...いることができるんだなと...」
「そうだったのか...それは申し訳ないことをしたな」
俺はクビにならないことに安堵して泣いてしまった。そして、またチャンスを与えてくれる総司令には感謝しかない。
「いえ...それで...潜入調査の内容は....?」
「ああ、それは簡単だ」
「というと?」
「かの...標的が学生だということはわかっているね?」
「もちろんです。この目で見ました」
「うむ。それで潜入調査の内容は標的の通う学校へ潜入し、標的の素性や情報を集めることだ」
「なるほど...わかりました」
「ならよし。こちらも他の手は無いかと探っていてね。結局この作戦にするしかなかったんだ」
「そうだったんですか」
「ああ、この依頼は殺すことを目的としていたが潜入して調査の過程で何の害がないと確信を持てると判断した場合、その時点で依頼は終了とする」
(ああ、良かった...本部も考え直してくれたんだな...これで今は殺さなくてすむ...)
「了解しました。それでは早速...」
「ああ、その事なんだけど...」
「なにか問題でも?」
「実はな、この依頼をこなす上で君には学校に潜入つまり入学してもらう必要がある」
「なるほど...」
「まあ、トップがいうのもあれなんだが...」
「?」
「実は...」
「実は?」
緊迫の空気が漂っている
(一体どうしたっていうんだ?)
しばらく沈黙が続くと総司令が口を開けた
「まだ入学手続きが終わっていないんだ...」
「...へ?」
「いや!プランBに変更されることが確定されてる時点で完了していたはずなんだが、書類に不備があったようでな...」
(な~にしてんだよ...総司令意外とドジなのか~...)
「そんなことがあったんですね...なら、依頼の方は...?」
「まあ、依頼は入学手続きが終わって学校から連絡が来次第連絡するから、しばらくの間休んでいてくれ」
「わかりました」
それから射止はしばらくの休暇を楽しむことにした
この度、読んでいただきありがとうございます。
自分自身初めての小説なのでなにかおかしな点があったかもしれませんが、修正しつつこれからも更新していきますのでどうぞよろしくお願いします。