表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Chevalier『シュバリエ』〜約束の騎士達の物語〜  作者: JACK・OH・WANTAN
第七章:スコートの絶景編
56/56

第55話:スコ-トの絶景

お待たせしました。続きになります。

翌朝。ユピテルの案内で僕達は山を登っていた。


「ふぁぁ・・・眠い。」

「テメェ。いつまで眠り被ってんだ!」

「うふふふっ。」

「ルーチェ。お前何が面白いんだ?」


後ろを歩くシルヴァ達の声が聞こえる中、僕はユピテルと並んで歩いていると彼が声をかけてくる。


「良い仲間を持ってますね。」

「はい。僕にとっては最高の仲間です。」

「そうですか。私も羨ましい限りです。」


ユピテルはそう言って笑みを浮かべる。・・・彼がもし仲間なら何かと助かりそうだ。先王の側近だったし何より現役の十二神騎だ。アレスやノアールに対しても対抗できそうだ・・・。誘ってみるか?


「ユピテル。もし良かったら僕の団に来ないか?元側近で十二神騎の貴方が来てくれたら心強い。」

「申し訳ございません。付いていきたいのは山々ですが私にはやることがあるのです。」


ユピテルは首を横に振って勧誘を断る。


「私は十二神騎という立場ですが団には入れます。しかし、私を取り巻いている環境が今は良くないのです。」

「そっか・・・なら仕方ないか。」

「その環境が解決した暁には貴方の御側に参りましょう。それまでお待ちください。」

「分かったよ。だったら今は貴方のやるべきことを果たしてほしい。」


僕は微笑んでユピテルを見ると彼は静かに頷きを返した。・・・僕もいつかこの人や師匠みたいに強くなりたいな。いつか仲間になったらその時は僕も彼に恥じない強さを持ってないといけないな。


「さあ!皆さん。頂上ですよ!」


そうこうしている内に頂上へ辿り着き、ユピテルが目の前を指差す。そこから見えた景色を見て僕達は感動した。


地平線から顔を出す朝日。その朝日に照らされる海と山が一面に広がり、僕らの目の前には幻想的な霧がかかっていた。霧がかったスコートの地上からは見えないこの景色は正に絶景と呼ぶに相応しかった。


「綺麗!アタシ。こんな景色見たの初めてよ!」

「あぁ。俺も初めてだ。」


絶景を見たシルヴァとエルデはそう言って目を輝かせる。そんな二人を見て僕は自然と笑みが零れる。仲間達のこの笑顔を守る為にも僕が頑張らないとな・・・。景色を見ながらそう考え、実感する。


・・・騎士団の団長としての責任を。


◇◇◇


「色々とありがとうございました。」


スコートの港に戻った僕達は見送ってくれるユピテルに礼を言う。


「私も世話になりましたよ。貴方達と会えてとても良かったです。」

「オレも鍛えて貰ったからな!次はぶっ飛ばす!」

「えぇ。その日を楽しみにしましょうか。」


カイの言葉にユピテルは何処か楽し気な表情を浮かべた。・・・この二人。知らないうちにライバル関係になってるな。


「そろそろ出航しましょうか?」

「うん。じゃあユピテル。また・・・」


ルーチェに頷き、ユピテルと別れようとした時だった。


「お待ちなさい。一つ貴方達の行く先を提案しましょう。」

「えっ?」


ユピテルは僕らを呼び止めると南の方へ指を差して言った。


「ここから遥か南に進んだ”アフラン大陸”にある”アフラン自治区”という砂漠地帯に”土の精霊ノーム”が眠っているという噂があるそうです。」


その言葉に僕達は驚く。土の精霊!?まさかその情報をユピテルから聞けるなんて!!


「これは風の噂で聞いたのですが・・・貴方達はお捜しなのでしょう?精霊を。私の情報でお役に立てるのなら伺っても宜しいかと。」

「ありがとうユピテル!行ってみるよ!」

「アフラン大陸か・・・補給して正解だったな。」


エルデはそう言ってエール・ブランシュ号を見つめる。


「善は急げね。彼を信じているのなら私は構わないけど。兎に角行くわよ。」

「うん!それじゃあユピテル・・・またね!」

「達者で!また会いましょう!」


エール・ブランシュ号に乗り込んだ僕達はユピテルに見送られながら出航し、スコート共和自治体を後にする。


「まさかアイツから精霊の情報を聞けるたァな。」


甲板で海を見ながらカイは僕らにそう言ってくる。


「驚きだけど行ってみる価値はあるよね?」

「あぁ。そうだな。」


僕の言葉にエルデは操舵しながら頷いた。


「砂漠かぁ・・・砂だらけなんだよね?本当にそんなところに精霊が居るのかな?」

「行ってみれば分かるわよ。」

「うーん。でも砂漠って言われても分からないわよ~!」


まだ見ぬ砂漠を想像するシルヴァをルーチェが微笑ましく見つめる。


こうして僕達は十二神騎のネプチューンことユピテルから欲しかった四体目の精霊の情報を聞き、次の目的地をアフラン自治区に定める。


残る精霊は半分・・・果たしてエクスカリバーに全ての精霊を取り込むと何が起こるのか?何故、師匠は僕にエクスカリバーを託したのか?その答えを求め、今日も大海原を渡る。


交わしてきた約束を・・・果たす為に


◇◇◇


 静寂に包まれたスコートの港・・・シエル達を見送ったユピテルが甲を被った途端、彼は何者かの気配を感じて口を開いた。


「・・・居たのですか。」


ユピテルが振り返るとそこには白の十二神騎アテナことミネルバの姿があった。


「久しいですね。ミネルバ。」

「何のつもりですか?」

「どういう意味でしょうか?」


彼女の言葉にユピテルは首を傾げる。


「とぼけるな!あの方に何をした?答えろ!」

「あの方・・・貴方達はそう呼んでいるのですか?」

「私の問いに答えろ!ネプチューン!」


ミネルバは怒りに近い声を上げながら槍の切っ先を彼に向けてくる。


「何もしていませんよ。寧ろ私は彼らが進むべき道を示したに過ぎません。」

「貴様は信用ならない!お父様の言う事を聞かない裏切り者が!」

「・・・ゼウスの話はやめて貰えませんか?」

「貴様ッ!」


ゼウスの名を口にしたユピテルにミネルバは怒りを顕わにすると依然として冷静な彼はそっと彼女の槍を掴んで言った。


「ここで争うな。私はお前達に危害を加えたくない。分かったな?」

「くっ・・・」


甲から眼を覗かせてくるユピテルを見てミネルバは渋々槍を降ろす。


「ミネルバ様!大変です!」


するとミネルバの団員が慌てた様子で二人の前に駆け付けてくる。


「エニュオ!何事だ!」

「ミネルバ様!申し訳ございません!喜望峰から連れて来ていたヴィーナス様が行方不明です!」

「何!?しまった!」


団員の報告を受け、ミネルバは焦りだす。


「おやおや・・・ヴィーナも来ていたのですか。彼女の事です。きっと彼らの船に居るのでは?」

「貴様はそうやって他人事のように!ええい!直ぐに追いかけろ!」


ミネルバはユピテルに構わず団員達に出航するよう伝え、彼の前から去っていく。遠ざかる彼女の背中を見届けたユピテルはそのまま人知れず住処のある山の麓へと姿を消すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ