3月9日 深山泰千
今日は、昨日に続いて、会社を休んでいた。朝から、スマホを使いながらこの前のことを考えていた。このまま、いつまで動き出せずにいるのか心配になっていた。
ー3月6日ー
俺は、どうするか迷った。上司の深山に電話するか?いや、もういいか。おそらく、中村から深山には電話がいってそうだ。だが、今かけないと、また、同じことの繰り返しだ。葛藤の末、俺はスマホをとった。
深山「あっ、もしもし」
深山は、眠っていたような声だった。
俺 「お疲れ様です」
深山「おつかれ」
俺 「今、いいですか?」
深山「いいよ」
俺は、おそるおそる声をかけた。
俺 「非常に申し訳ないんですが、、、」
深山「‥‥‥」
俺 「辞めようと思います」
深山「えっ、なんで?」
深山は、動揺している様子だった。
俺 「いや、特別に何かあるというわけじゃないんですけど」
深山「なんかあるやろ」
何が理由であるか知りたかった様子だった。
俺 「いやいや、ホントなくて」
自分の中でも何が理由かは、わからなかった。ただ、自分の言葉で言語化することができなかった。
深山「ないとか嘘やろ。この前のプレゼン?」
俺 「違いますよ」
中村だけでなく、深山もこの前のプレゼンが理由だと思っていた様子だった。
深山「じゃあ、なんで?」
俺 「うーん。何というか」
上手くはなせない。
深山「‥‥」
言葉につまっていた。
俺 「タイミングですかね」
深山「タイミング?」
俺 「はい。やっぱり、こう、、。なんていうんですかね?思った時じゃないと難しいんですよね」
思った時に行動しないとこのまま、この会社でずっといてしまうのじゃないかという不安もあった。
深山「そう?また、来年じゃアカンの?」
俺 「はい」
電話越しだから、どんな表情をしているのかはわからなかったが、明らかに困っている様子だった。
深山「今、誰に言ってるの?」
俺 「今は、中村さんだけです」
他の人には、どう頑張っても言えなかった。
深山「なるほどな」
俺 「はい」
深山「やめた後はどうするか決めた?」
深山も中村と同じことを言っていた。
深山「うーん。じゃあ、ちょっとまた折り返していい?」
俺 「大丈夫です!」
深山は、苦笑いをしながら、電話を切った。




