5月18日 マネジメント(花沢)
花沢の話を聞けば聞くほど、自分ではどうしようもできないことに対して考えてしまうのだった。
俺 「じゃあ、契約切られたってこと?」
花沢「たぶん、そうだと思います」
俺 「なるほど」
思わず、頭の中がカッとなってしまっていたのを抑えようと必死だった。
花沢「なんかよくわからなくて」
俺 「ん?どういうこと?」
今の話だけで、契約が切られたことを納得することはできなかった。何が原因なんだ?
花沢「なんで切られたのかよくわからなくて」
俺 「そんなことある?」
花沢「はい、、、、、、、、、」
相変わらず、花沢は下を見がちだ。下を見たいのはこっちなのに。
俺 「こうかなぁ、みたいなあるんじゃないの?」
花沢「いや、それがまったくわからないです」
俺 「それはないでしょ。ちゃんと考えてみて」
いつものように、花沢は気持ちが沈んでいるようだ。彼女は、上手くいかないとすぐに表情にでる。まぁ、わかりやすいのはいいんだけど。
花沢「うーん、、、、、、、、」
俺 「今のままだと、売り上げあがらんぞ?」
花沢「わかってます」
花沢の"わかってる"という言葉を信じることはできなかった。
俺 「わかってるんかよ?」
花沢「はい」
俺 「ちゃんと売り上げあげないと、給料も上がらないよ?」
優しく言おうと思えば思うほど、上手く感情をコントロールできない。
花沢「はい。でも、どうすればいいかわからなくて」
俺 「そうなの?」
花沢「伊東さんみたいに、仕事の量増やすとか無理ですし」
俺 「それは、真似しなくてもいいよ」
正直、花沢が俺と同じようにやることは現実的に不可能だ。だから、やれることをやればいい。俺はそう考えていた。
花沢「自分ができることはしてるんですけど」
俺 「もっと件数は増やせないの?」
花沢「いや、もう無理です」
もう無理なのかよ。花沢って、そんなに件数は多くないはずなのに。
俺 「檜だって増やせてるんだし、花沢もいけるだろ」
花沢「いや、檜さんとは一緒にしないでください」
なんで、アイツと一緒じゃダメなんだよ。
俺 「花沢さんの方が年齢も上だし、やれるよ」
花沢「年齢は関係ないですよ」
俺 「いや、あるでしょ」
納得できない花沢に対して、力技でなんとかしようとしている自分がいたのだった。




