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5月17日 マネジメント(中丸)

 初めてだ。コイツと真正面から対峙するのは。オフィスの窓から暖かい日差しがさす頃、俺の目の前には、中丸がいた。中丸は、仕事ができるというわけではなかったが、毎日ちゃんと出社はできている。それたまけで、評価すべきだろうか。メガネをかけながら、熱心に俺の話に耳を傾けている。俺とは違い、とても真面目そうだ。でも、結果が出なければ沈んでいってしまうんじゃないかと思っていた。申し訳ないけど、同期の石木と比較すると仕事はできるほうではない。俺としてはら大学院出身ということもあり、すぐに現場での起用を考えていたが、それも難しいのではないかと、山形さんなどの話を聞いて思う。

 机の上の時計は、刻々と動いていく。「最近は、どう?」。まずは、中丸の話を聞こうと思い質問を投げかけた。話し始めた中丸の声はまだ穏やかだった。彼は、淡々と話をしていくともあり、正直何がいいたいかはあまりわからない。営業にとって、話を聞けないというのは一番致命的な課題だ。中丸の話に対して、俺は少しだけ息を吸い、言葉を選ぶように口を開いた。「中丸さんは、いつから営業したいとかあるの?」。時が止まるかのように、返事を待つ。「あんまりないですね、、、、、、」。中丸の話に対して、私はゆっくり頷ながら、何を考えているのかを必死に想像してみた。

 山形、花沢、檜たちに売り上げを求める以上、新人とはいえ中丸にも結果は求めたいところ。ただ、それができるとは思えない。とりあえず、テキトウな答えを出すしかないな。「すぐには、無理かもしれないけど、ゆっくり成長していこうか」。決して大きな声では言えなかったが、ペンを走らせ必死にこれが正しいと言わんばかりにメモを書いていた。中丸の目標は、

現実的なステップとして、何がいいのだろうか?改善点ならいくらでもある、でもこれでいいのか?目の前にいる中丸の顔を見るといろいろ過去のことが思い浮かんでいた。あの時、比良にもっと言っていれば変わっていたのかもしれない。

 少しの沈黙が室内をおおう。俺は顔を上げ、今どうすればいいか必死に考えてみた。中丸のできないことを考えるのではなく、できることを。きっと、何かあるはず。中丸は、沈黙をかき消すかのように、来月の有休について話し始めたのだった。そうだ、まだコイツは1年目だ。今、彼に求めることは毎日来ることだけだ。俺は、頭の中にある思いを押し殺し話し始めたのだった。

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