5月15日 プレゼン
いつものように会議室を出て、中村さんの電話に耳を傾けていたのだった。
俺 「じゃあ、6月にあるということですね?」
中村「そうそう」
俺 「めんどくさいなぁ、、、、、、」
社内をあげたプレゼン大会があるみたいだ。俺たちの部署に、そんな余裕があるのか?
中村「伊東くんのところは、どうするんだ?」
俺 「いや、何も決まってないですね」
中村「遅れてるじゃない」
遅れてるって言われてもな。どうしたらいいかはわからなかった。
中村「まだ、時間あるんだしゆっくり考えたらいいよ」
俺 「6月だったら、そんな時間ないですよ」
中村「そう?」
絶対、現場のことナメてるだろ。イライラした気持ちをいつの間にか、中村さんにぶつけていた。別にイライラした理由は、中村さんのせいじゃない。後輩が原因だ。朝からの後輩の仕事ぶりは、イライラせざるを得なかった。1週間の始まりがこんな感じでいいのだろうか?自分に違和感を抱いてしまう。
俺 「ただでさえ、上手くいってないのに」
中村「そんなことないよ。伊東くんは、上手くやってるよ」
俺 「全然です」
中村さんにフォローしてもらっている自分が情けなかった。
中村「まぁ、気にせずいこうよ」
俺 「わかってますよ。そういえば、他の課はどうするか決まってるんですか?」
中村「なんか、今市くんのところは決まってるみたいよ」
俺 「速くないですか?」
明らかに速い。なんで、そんな風に決まっているのか?
中村「なんかねぇ、もともと課の中でプレゼンする機会があったんだって。それをそのまま使うらしいよ」
俺 「まじかぁ」
中村「でも、どっちにしろ手直しは必要だしね」
俺 「それは、そうかもしれないですけど」
余計、焦りが出てきてしまう。
中村「今市くんのところは、1年目が作ったし。手直しは手直しで大変だよ」
俺 「1年目が作ったやつで勝負するんですか?」
中村「らしいね。今市くんらしい思い切った決断だと思うよ」
思い切ったというかな。それだったら、負けても言い訳できるじゃねぇか。
俺 「そういう手もあるのかぁ」
中村「伊東くんも、1年目にさせるの?」
俺 「うーん、、、、。どっちの方がいいのかはわかりませんね」
中村「まぁ、それは考えによるよね」
どうすればいいか、正直迷いながら、中村さんの電話を切ったのだった。




