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5月14日 マインド

 俺は、陽射しが差し込む午後に、久しぶりに書店の扉をくぐった。今日ここに来たのは、代表の園山から勧められた本を観に来るためだった。ここには、いろんな本が並んでいる。店内は、いつもの静けさと人々で賑わっていた。久しぶりということもあり、前来た時と微妙にレイアウトが異なる。こんなレイアウトじゃなかった気がした。自分が欲しい本は、きっとビジネス書のコーナーにある。今市や千尋は自分の成長を大事にしているから、きっと本も毎日読んでいると思った。同期だから、決してそういうことを表には出さないのだろうけど。

 どの本をにしようか?どの本を読めば変わるのか。とにかく変わりたかった。個人成績1位である今市をなんとかおろして、自分がそこいくことを考えていた。中村さんからは、個人成績より全体成績だと言われているけど、俺は違うとずっと思っている。たしかに、個人での売り上げはたかがしれてる。だからと言って後輩に全部任せるのは違う。

 ピンチになった時、自分で全員を助けられるような責任者になりたいというのが今の想いだった。けど、それは簡単なことじゃない。責任者になった今年から、確実に結果を残していかないと、そう思ってもらえないのだ。だが、思っているよりも現実は難しい。檜はいいが、山形や花沢たちは、完全に自分たちの世界にいる。彼らを導くのは自分しかいない。そういい聞かせながら働いていた。

 彼らみたいに、無責任に働くことはできない。決して彼らがダメだと言いたいわけではない。でも、今のままだったら、1位はおろか、このまま何もしないまま、責任者として終えることになるのだ。それだけは嫌だと思い、今日ここまで来たのだ。目の前には、『マネジメントの秘訣』という本が。そう言えば、この前中村さんがオススメしていた本だった。このまま読むのは、なんとなく嫌だ。アイツの言いなりみたいで。ここは、マネジメントコーナーかと言わんばかりの本が並んでいる。中村さんからは、ずっとマネジメントとここ最近言われている。でも、自分はそうじゃないと思っていた。たしかに、マネジメントも大切だとは感じている。けど、マネジメントの極意を覚えても、彼らは変わらない気がしたのだ。山形や花沢変えたいんだろ?だったら、普通にしてもダメだ。マネジメントの本ではなく、横に置いてあった自己啓発のマインドセットの本に目を向けたのだった。昔からメンタル自身は強い方だった。しかし、メンタルは強ければいいというものではない。打たれ強さだけだと、そこに固執してしまうからだ。

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