5月10日 16位
檜 「何位だったんですか?」
俺 「16位」
檜 「えー。過去最高じゃないですかぁ」
満面の笑みを浮かべる檜がいた。気持ちは理解できるけど、それでは困る。
俺 「喜んでる場合かよ」
檜 「喜べるでしょ」
コイツは、16位に対してあまり、何も思わないようだ。
俺 「喜ぶなよ。そんなんで」
檜 「なんでですか?」
なぜ、喜んではいけない?そんな印象を受ける。
俺 「新人がベスト10入ってるんだぞ?」
檜 「えー、そうなんですかぁ?」
俺 「ああ」
少しは危機感やライバル意識をもってほしいのが本音だった。
檜 「まぁまぁまぁ、1位がいれば16位もいますから」
俺 「知ってるわ」
コイツに言った俺がバカだった。
檜 「そういえば、先輩は何位だったんですか?」
俺 「ああ、俺は5位か6位くらいじゃねぇかな」
タイピングの手を止め、俺の方を向いてきた。
檜 「めちゃくちゃスゴイじゃないですか?」
俺 「凄くねぇよ。俺よりも上のやつがいるんだから」
檜 「そんな上ばっか目指しても仕方ないっすよ」
コイツの言うことは一理ある。でも、それを認めるわけにはいかなかった。
俺 「働いてるんだから、それは上を目指せよ」
檜 「伊東さんより上って誰がいるんですか?」
俺 「えっーと、、、、、、、、、」
誰が上だっけな?今回の順位をちゃんと見てなかったからなんとなくしか覚えていない。
俺 「今市とか摩耶とか佐藤とかじゃねぇの?」
檜 「いやー、やっぱり今市さんスゴイっすね」
俺 「そうだな」
アイツはいい奴だし、結果も出せる。アイツに勝てるところはなかった。
檜 「そういえば、この前のやつどうなったんすか?」
俺 「この前のやつ?」
檜 「新人研修」
そういえばあったな。たしか、4月23日だったかな?人事部の通達ミスで白紙になったやつ。あれだけは、本当に納得ができなかった。
俺 「今度やるよ」
檜 「え、いつですか?」
俺 「12日」
この日は、檜と花沢が営業に行かない日だから、手伝ってもらおうと思っていたのだ。
檜 「これって、俺もでるやつですか?」
俺 「正解」
檜 「まじっすか。恥さらさないでくださいよ」
俺 「お前がちゃんとやればそうならないだろ」
今の話を聞いて、檜と花沢ともちゃんと打ち合わせをしなければならなかった。




