5月9日 個人成績
俺は、営業四課を代表してここにやって来ていた。今日は、営業会議。各営業の責任者と中村と深山、そして益子の7人が集まっていた。会議室のドアを静かに閉めると、薄暗い空間の中から中村が話し始めた。俺の前には、今市が座っていた。長方形のテーブルを囲むように、俺たちは座っていた。4月の営業成績は、今市がリーダーである営業四課がトップだった。営業成績ナンバー1の今市に加えて、槙田と坂本と売り上げ上位の奴らが揃っていた。そこに、髙橋という新人も入って盤石の布陣だった。
営業成績2位が、営業一課。ここは、営業ナンバー2の麻耶と新人の三藤が想像以上の成績を残していた。麻耶は、今市と約20万差とほとんど僅差だった。しかし、他の奴らはパッとしない成績で全体の売り上げを下げてしまう。それでも、大きく成績を下げることがしないのが営業一課の強みだ。それは、俺たちにない強みだった。そこに新人の三藤が加わり、既存の営業マンとさほど変わらない成績を残していることが大きかった。凄いよな、この二人でこの順位は。
営業成績3位が営業ニ課。営業ニ課は、突出した成績を出せる人がいないというのが欠点だった。営業成績が上位10人が一人もいないという悲しい状態。ニ課の山坂の気持ちは理解できる。しかし、俺たちはそんな営業ニ課よりも成績が悪いのだ。こんなことありえるのだろうか?そんなことすら思ってしまう。営業最下位の俺たちは、営業成績の上位15人に入ってるのは俺だけだった。そりゃあ、勝てるわけがない。なんで、こうなったんだよ。中村の話をしながら後悔してしまっていた。俺自体は、個人成績5位と納得した結果だったが、それがチームの成績につながらないというのは昨年までとは違うところだった。中村は、個人成績一覧を
プロジェクターの光が部屋を照らし映し出されていた。スライドに映し出された数字を見ると、言葉をなくしてしまう。俺は、営業三課のメンバーたちを思い出しながら、16位の檜の成績を見た。檜の成績は過去の実績と比べると、決して悪い成績ではなかった。檜なりに少しずつ結果を出してるのに、ここに来て新人の三藤が入ってきたのは想定外としか言いようがない。
【個人営業成績一覧】
1位 今市隆聖
2位 麻耶直虎
3位 佐藤惇
4位 槙田康二
5位 伊東新
6位 入山杏
7位 坂本幸也
8位 江田真太郎
9位 若山佑都
10位 三藤大雅




